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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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夜。ムツキが新品の寝間着に身を包んで自室で本を読みながらくつろいでいる。寝間着は相変わらず、紫色をした薄手の長袖長ズボンである。彼は既にベッドに入って、腰回りまで薄い掛布団で覆っており、いつでも寝られるといった状態だ。


その時、コンコンとノックの音が扉から聞こえてくる。


「ムツキ、いい?」


ユウの声がムツキの耳に届く。彼は本にしおりを挟みこみ、ベッドの横にある小さな引き出しの中にしまい込む。


「どうぞ」


ムツキのその言葉に、ユウは扉を開ける。彼女は入浴時と異なり、いつものあどけない姿に青色を基調とした可愛らしいパジャマを着て、ナイトキャップまで被っている。傍から見れば、完全に年齢が一桁の女の子である。


「ダイブ!」


「おわっ」


ユウはものすごい勢いでムツキへと飛び込んでいく。彼は優しく抱き留めてから、ナイトキャップ越しに頭を撫でる。彼女は撫でられてとても嬉しそうにしており、満面の笑みで彼の方を見る。


「今夜はよろしくね♪」


「それはいいんだが、大きくなってくれよ? いつも言っているけど、その姿はアウトだ」


ムツキはさすがに今の姿のユウとそういう行為に至ることを良しとしない。あくまで大人どうしの楽しみとして、そのような行為があると思っているからだ。


「えー」


ユウがどのような姿にもなれるのにも関わらず、幼い姿なのは省エネのためである。そして、彼女は別に今の姿でも問題ないと思っている。そのため、いつもムツキに言われているものの、最初は構わずこの姿のまま現れて交渉し始める。


「えー、じゃない。それが条件のはずだぞ? あと、その扉の奥にいるナジュとリゥパは別件か?」


ムツキは毎回頭を抱えるような仕草をする。ここまでの流れはいつものことであり、ある意味、そのような行為に入る前のルーチンワークと化している節もある。


「バレてた?」


「バレないと思われたのであれば、俺は相当鈍感と思われているようだな」


ムツキは軽く溜め息を吐く。


「え、鈍感だよね?」


「え? いや? そんなことないだろう? いろいろと察しているだろう?」


「それは……少し足りない感じがする」


「えー……そうなのか?」


ナジュミネもリゥパもユウに同意のようで、首を縦に振っていた。その予想外の反応に、ムツキは驚きを隠せない。


彼はそこまで鈍感ではないものの、少々ズレている部分があり、それが女性陣をやきもきさせる時がある。


「改めてこんばんは、旦那様。今宵は妾も参加してもよいと言われたぞ。願ってもない」


「私もユウ様に言われたわよ? みんなで楽しむんでしょう?」


ナジュミネはピンク色のノースリーブとドルフィンパンツとかなりラフな格好で現れ、リゥパはリゥパで今朝と変わらずの薄緑色をしたベビィドールで現れる。2人とも四肢が白く美しく映えており、それぞれがムツキの両隣に腰を掛ける。


彼は3人から漂う微かに甘い香りに本能を揺さぶられる。


「ユウ、勝手に決めるなよ」


「……嫌なの?」


ユウは潤んだ瞳で上目遣いをする。ただでさえ美少女の彼女がそんな表情まですると、ムツキも何も言えなくなってしまう。


「……嫌じゃないけど」


「それに、今夜は寝かさないって言ったじゃない?」


「ナジュやリゥパもいるなんて言ってなかっただろ?」


「いないとも言ってないよ?」


「そりゃそうだが……」


「もう、うじうじ言わないで、男らしく全員を相手しなさい!」


いくらかやり取りを交わし、中々煮え切らないムツキに、ユウが痺れを切らす。こうなっては、彼が彼女に太刀打ちする術などない。


「はぁ……分かったよ」


そう言うと同時にムツキはユウを抱き締めて、彼女の耳元に自分の口を近づけて動かし始める。。


「ただし、ユウ、お前だけは絶対に寝かさないし、部屋に帰さないからな。覚悟しろよ? あと、早く大きくなれ」


「……はい♡」


ユウはゾクゾクと全身を震わせながら、大人の姿に変わっていく。


「それと、ナジュもリゥパもまた前みたいに後悔するなよ?」


「……がんばるぞ」


「えっと、ほどほどでお願いしたいわね……」


ナジュミネは両の拳をグッと握りしめながら自分を奮起させ、リゥパは前回の恥ずかしさを思い出して遠慮気味な態度を示す。


「前みたいに、耳、つけちゃう?」


「旦那様がそれで喜ぶなら」


「ムッちゃんは喜ぶに決まっているじゃない。前回、どんだけ……」


女性3人だけでなく、ムツキも思い出す。いつも以上に全員が満足し、そして疲労したあの日のことを思い出す。


「リゥパ、そんなに嫌なら戻ってもいいぞ? ユウに言われてついてきただけなら、無理はしない方がいい」


ムツキはリゥパの頭を撫でながら優しい言葉を掛ける。少なくとも、彼は自分の優しさから出ている言葉だと思っていたが、彼女にはそう聞こえなかったようだ。彼女は、突如、ムッとした顔をする。


「……もう、ムッちゃんのそういうとこがちょっとだけイラっとするわ! やるわよ! 私だけ仲間外れにしないでよ」


結局、前回同様に、ナジュミネは猫耳を、リゥパは犬耳を、ユウはウサギ耳をつけて、夜が始まるのだった。

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