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「いや、いやいや……マジでヤバいって……!」
サブは頭を抱えながら、城下町の酒場でため息をついていた。
「勇者ってこんなにブラックな仕事だったっけ……?」
アバロンオブ・ラグナロクに転生してから、何度も命の危機にさらされてきた。モンスターの討伐、貴族の揉め事の仲裁、果てには王と知らずにタメ口をきいて殺されかけるなど、毎日がサバイバル。
「これ、普通に受験したほうが楽だったんじゃ……」
そんなことをぼやいていると、酒場の扉が勢いよく開かれた。
「サブ様! 大変です!」
駆け込んできたのは、城のメイドの一人。
「え、俺なんかしました?」
「違います! 貴族街の討伐隊が全滅しました!」
「……は?」
サブの思考が一瞬止まる。
「いやいや、待て待て。討伐隊って精鋭部隊だろ? そんな簡単に全滅とか……」
「それだけではありません! 萌香様の旦那様が行方不明になりました!」
「……マジ?」
さっきまでの愚痴が、一瞬で吹き飛ぶ。
(やべぇ、完全に面倒ごとじゃん……! でも……)
サブは酒場の窓の外を見つめた。遠くには、巨大な城がそびえ立ち、黒い雲が重く垂れこめている。
「……しょうがねぇなぁ。」
ゴトリ、と机に置いたジョッキを退け、サブは立ち上がる。
「行くか……勇者ってやつは、こういうとき動かねぇといけねぇんだろ?」
メイドが安堵の表情を浮かべる。
「ありがとうございます、サブ様! 萌香様がお待ちです!」
「ったく……竜神の嫁様からのお呼びか……。まぁ、受験勉強よりはマシかもな。」
サブは伸びをして、勇者の剣を背負い直した。
「よし、行くぞ!」
──そして、サブは“アバロンオブ・ラグナロクの闇”の核心へと踏み込んでいくのだった。