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「…いい加減にしてよ!!」
なんなの。なんなのなんなのなんなの?
私の人生めちゃくちゃにしておいて。
私はどうしたらいいの、?
あの人も 私も みんなみーんな
しんしん ぱらぱら
雪だ
今日は一段と寒いと思っていたら、雪が降っていたようだ。
パジャマ姿に上着とマフラーを着け、
外はどれほど寒いんだろう
そう考えながら、重たいドアを開ける
外に出た瞬間、ぶるっと身体が震える感覚がした
辺りは既に真っ白で、とてもではないが自転車で学校には行けなそうだ。
はあ っと白い息を吐きながら、空から降ってくるものに手を差し伸べてみる。
掌にのったそれは、すぐに溶けて見えなくなってしまった。
まるで私の心のよう。
そんなキザなことを考えたって仕方がない
私は学校の準備をしなきゃならないんだから。
家の鍵を手に取り、外へ出て
冷え切った空気に突っ込んでいく。
やっと学校の近くまで来た
周りには同じ制服を来た男女がたくさんいる。
前を歩いているのは…紗奈?
黒くて真っ直ぐ伸びた長い髪
あの後ろ姿は絶対に紗奈だ そう確信した。
目を瞑り、ふう と軽く息を吐き
紗奈のもとへ走る。
「さーなーー!!!!おはよう!」
「遥華。おはよう」
「あのね、…」
「ん?」
そう言いかけ、私は喉まできていた言葉を飲み込んだ
だって これは誰にも言えない話だから。
私しか知らないでいい話だから。
「…なんでもない!!!!!大丈夫!!!」
「紗奈、今日の朝ごはん何食べたのー?!」
「え?あ、食パン食べたよ。」
あーもう。紗奈を困らせてしまった
私はあの人のようになりたくないのに。
授業中、激しい腹痛と吐き気が襲ってきた。
やっぱり 昨日のことが私には重かったのか
どうやったら症状を軽減できるかな
ぐるぐる考えていたらとうとう椅子から転げ落ちそうになってしまった。
さすがに保健室に行こうと思い、
なんとか立ち上がり先生に声をかける。
「せんせー、保健室行っていい?」
「大丈夫かー?行ってこい行ってこい」
いつもなら敬語を使えと 叱ってくれる先生が、今日はなにも言わなかった。
気を遣わないでいいのになあ
そう思ったけど、口には出さなかった
保健室の前で足を止めるなんて、いつぶりだろうか。
もしかしたら入学して初めてかもしれない
ノックを3回して、扉を引いた。
「…失礼しまーす」
返事がない
先生がいないことに気付いた私は、傍にあった紙に
『ベッド借りてます!!!!! 藤森 遥華』
と書き ベッドに横になった。
「遥華、こっちにおいで。」
「なあに、おかあさん!」
「…遥華はお母さんとお父さんが別れたら、どっちについていきたい?」
「? はるかはねえ、んーとねえ…おかあさん!」
「そう…」
「なんできいたのー?」
「お母さんねぇ、お父さんと離れることにしたの。」
「…??そっかあ!」
「だからね、遥華。遥華はもうお父さんに会えないかもしれない。」
「…?!はるか、おとうさんにあえないの?はるか、おとうさんすきなのに、?泣」
「…そう」
「ぅ、うわああああんっ、泣 おとうさん、はるかのこときらいなの、?やだ、やだよおかあさん、はるか、おとうさんとあいたいもんっ、泣 ひぐっ、いやだぁ、泣」
「ごめん、ごめんね遥華」
『お母さんはずっと遥華を愛してるからね。』
「…は、っ」
今、何時間目?やばい、起きなきゃ
…足に力が入らない。
立つことを諦めたとき、枕がびっしょりなことに気が付いた
そういえば 酷い悪夢を見た。
どうして今更あんな夢を見せるの。
寝ていたって起きていたって、私はあの人のことばっかり考えなきゃいけないの?
「失礼します」
誰か保健室に入ってきたみたいだ
今 保健室の先生はいない。
どうしよう、声掛けた方がいい?
お節介なことを考えていたら カーテンが開いた。
「遥華、大丈夫?」
「えっ、?紗奈…?なんでいんのー、笑笑」
「なんでって。遥華が保健室行くからでしょ。」
嗚呼、やっぱりこの子は優しいな
全てを話したくなってしまう。
「…ちょっとお腹痛かっただけ!!!笑
もう、そんな気にしないでってばー!!!!!」
「そっか。元気、ないように見えたから」
「っ…んな私が元気ないわけなくなーい?!笑」
この子は一体、私のどこまで気付いているんだろう。
どうしてこんなに私なんかに気にかけてくれるんだろう。
「私に気にかけたっていい事ないのに。」
「いい事あるから気にしてるわけじゃないよべつに。」
「いっその事、全部話したい」
「話せば?」
ん?
「やっば、遂に心の声出た?」
「出てる」
あーあ
派手にやっちゃったなー笑笑
「…」
「…話したいこと、あるの?」
あー、
「…うん」
「私でいいなら 全部聞くよ。」
もう
「ほんとに、いいの、」
「いいよ。」
どうして?
「ほんとに、わたしのはなし、きいてくれるの、?」
「聞くよ。」
今まで誰にも
「うまくはなせるか、わかんない、」
「上手く話せなくても私は何処にも行かない。」
私の心なんて
「そばにいてくれる、?」
「何時間でも」
見透かされたくなかった
「はなれない、?」
「離れない」
なのにこの子には
「しんじて、いいの、?」
「勿論」
「私がずっと居るよ。大丈夫。貴方なら いつまでだって隣に居るからね、遥華。」
finish -