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工藤と並んで歩く帰り道。
最初の頃は気にならなかったはずなのに、最近、こいつが隣にいることが妙に自然になってきた。
「ねぇ先輩、今日の部活の試合、めっちゃかっこよかったですよ!」
「……そうか。」
「うん!いつもクールに見えるけど、本気出してるときの先輩、すごく迫力あって!」
「別に。」
「またそれ!先輩って、ほんと照れ屋ですよね〜。」
「誰がだ。」
「ふふっ、顔には出てなくても、耳ちょっと赤くなってますよ?」
「……うるさい。」
こいつは本当に、なんでこんなに俺のことを気にするんだろう。
ふと、昨日のことを思い出す。
**「だから、これからもずっと先輩の隣にいてもいいですよね?」**
その言葉が、なぜかずっと頭に残っている。
(……ずっと、か。)
「先輩?」
「……なんでもない。」
このまま、こいつがずっと隣にいるのなら、それはそれでいいのかもしれない。
でも、もしそれが当たり前になってしまったら。
いなくなったとき、俺はどうなる?
(……面倒だな、考えるのはやめよう。)
「先輩、聞いてます?」
「聞いてる。」
「絶対聞いてないでしょ!」
「聞いてるって。」
そう言いながら、俺は隣で笑っている工藤をちらっと見た。
――なんでこいつの笑顔は、こんなに簡単に俺の心を揺らすんだろう。