「行ってきまぁす…」
(はぁ、今日もいつもと変わらない学校。わたしにも漫画のヒロインみたいな特別なところがあればなぁ)
私の名前は中森天音、ごくごく普通の女子高生。外見も中身も成績も運動も全てが普通。
「普通な人なんていない」そういう人もいるけど私には誰かに勝つところが何もないと思う。だからと言ってなに他の人にできることができないわけじゃない、私も努力すればできるものがあるし、できないものもある。ただ、特別な部分がないだけだ。
[私の個性は]いつも考えている、何か私にしかないものがないか。でも、何度考えても何もない。
あ、もうそろそろ校門が見えてくる…
「おはよう!!」
暑苦しくて、無駄に元気な先生が挨拶をしてきた。
「おはようございます…」
元気な先生とは正反対な私の声。私は大きな声を出すこともあまりない。
ガラッ
1-2の教室に入るとガヤガヤと騒がしい声が聞こえる。女子は女子、男子 は男子、グループで固まって話している。私はどのグループにもいない。いわゆるインキャ、でもインキャはインキャで人と喧嘩したりすることもあまりないし、なかなかいいポジションだ。
今日もいつもと変わらない一日が過ぎていく。
休み時間、私はいつも本を読んでいる。ちなみに今ハマっているのは感動系。
「ねぇねぇ!」
はぁ、また近くでヨウキャが話してる。本を読む邪魔になるからあんまり近くで話さないで欲しいなぁ。
「ねぇねぇ!」
話しかけられてる人はまだ答えないのか。
「ねぇってば!」
ん?まて、これは私に話しかけているのか?だとしたらまずい、こんな元気に話しかけてくるっていうことは、絶対ヨウキャだ。なんて返そう。下手な返し方したら、機嫌損ねてヨウキャが私のことを消しにくる。私の学校生活終わる。
「ねぇってば!中森さん!」
「は、はいぃ!」
「やっと返事してくれた!なんの本読んでるの?」
「え?あ、なんで…」
やばいうまく返事ができない。なんて返すのが正解なんだ?今まで家族としかまともに話してこなかった過去の自分を殴りたいかも…。
「あぁ、そっか自己紹介まだだった!私、鈴原 明菜!よろしく!」
「は、はい。よろしくお願いします。」
自己紹介?わたしもしたほうがいいのか?でも、本のこと聞かれてるし…なんてこたえれば!
「中森 天音さんでしょ?天音ってよんでいい?」
「は、はい。それで、その、鈴原さんはなんで、わたしに…」
「明菜でいいよ〜!天音が読んでる本、気になってさぁ!なんかおもろそう!」
ヨウキャは本なんて読むのか?とりあえず、なんか言わないと…
「これは、〜〜ていう本です…」
「へぇ!面白そう!買ってみようかなぁ!!」
ヨウキャは本を読むのか?初めて話したのにいきなり名前呼びにするのもヨウキャっぽい。
キーンコーンカーンコーン
「あ、やべ!またね!天音!!」
「は、はい」
ヨウキャってわからない…
さっきの人はなんだったんだろう。いきなり話しかけてきて本の題名を聞いてすぐに帰る。
ヨウキャの行動ってわからない。
あ、もう帰る時間だ。
「帰ろ」
いつもと変わらない日常。いつもと変わらない学校、今日もそうなると思っていた。でも、今日は何か違った、鈴原さんが話しかけてくれたし。ワンチャンわたしも、これから華の高校生活を送ることができるかも!?きっとこれからいい方向に進んでいくはず。
そう思っていたこの頃の自分に戻りたい。私の高校生活は、いい方向には進まなくなった。
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