「お前ら、なーにしんみりしてんの?」
突如、夜の森に響く少女の声。
その声はやけに軽く、まるで茶化すような響きを持っていた。
「……ッ!」
サブとみりんはすぐに武器を構えた。
萌香はまだ、先ほどの戦いの余韻から抜け出せずにいた。
「おっ、勇者くん発見♪」
闇の中から現れたのは、一人の少女。
彼女の肩には、一羽のフクロウが静かに止まっている。
「如月まどか、14歳。お前らのこと、ちょっと見てたんだけど──いやー、ウケたわwww」
「……は?」
サブが思わず眉をひそめる。
「いや、だってさー。勇者くん、さっき泣きそうな顔してたじゃん? そんなんで魔物と戦っていけんの~?」
「……!」
「草生えるwww」
まどかはニヤリと笑った。
「……何者だ。」
みりんが剣を向ける。
「んー? まぁ、端的に言えば──勇者殺し?」
「……!」
「まぁ、そんな肩書きどうでもいいんだけどね? ただ、私は王国が大っ嫌いで~」
「……王国が?」
サブが警戒する。
「うんうん、大っ嫌い♪ あんな腐った国、さっさとぶっ壊れればいいのに。」
まどかの笑顔は、どこか底知れない不気味さを含んでいた。
「お前が何を考えているのかは知らないが、俺を殺しに来たのか?」
「ま、そゆこと♪ でもさー、いきなり殺しちゃったらもったいないじゃん?」
まどかはクスクスと笑う。
「だから、遊んであげるよ。まずは──」
彼女が手を上げると、地面から黒い霧が立ち上り、やがて一つの人影を形成した。
「……っ!!」
それは──さっき萌香が殺したはずの、元旦那の魔物だった。
「ま、私は人を魔物にする術をちょっと勉強しちゃったからね?」
「……お前……」
萌香の顔が歪む。
「さぁ勇者くん、”もう一回”戦ってみよっか?」
まどかはいたずらっぽく笑いながら、軽く指を鳴らした。
闇の中、狂気が滲む笑い声が響いた。
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わぁ✨️まどかとーじょー! 続きが楽しみ!