「ジーナ、居るかい?」
お父様は私を呼んでいた。
「はい、お父様」
「今日は、踊り子の日だ。」
「市場に出て、踊ろうじゃないか。」
「えぇ、今着替えてくるわ!」
衣装ケースを開き、
さっき貰った煌びやかな服を身に纏った。
「お父様!準備が出来ましたわ!」
「…おぉ、やはり綺麗だ…」
「そんなにまじまじ見られると、恥ずかしいわ」
「すまんすまん、だが、本当に似合っているな。」
「ありがとうございます」
「じゃぁ、市場へ行こうか。」
お父様と一緒に歩いて市場の大通りへ向かった。
「お父様、人が沢山いるわ」
「そうだねジーナ、今日はここで踊るんだ。」
「なんだか緊張してしまいます…。」
「大丈夫だよ、いつもの練習通りに優雅に、踊るんだ。」
「じゃぁ、踊ってきます!」
私はステージに上がった。
軽い足取りのステップを踏み腕をしならせ、
柔らかな腰振りを披露した。
ステージ周りの観客席は満席で、
歓声が響き渡っていた。―――――――――――――――――――――
「ん…あの子は?」
私は、手を振ったあの子を見つけた。
「ジーナ…と言ったかな、結構有名なんだな。」
「お?ジーナちゃんじゃん」
「ラフ!居たのか。」
ラフが隣の席に座っていた。
「お前の後ろをついて行ったんだ」
「相変わらず好きだな〜」
「そっ、そんな事はない!」
そっぽを向き、空を宥めた
「正直になっちまえばいいのによ〜、
この頑固者!」
「くっ…」
そう言い合っているうちに、踊は終わってしまった。
「あ!終わってしまった…」
「あ〜あ、お前のせいで〜…」
「なっ…まだそんな事をほざくのか?!」
「だってそうじゃんか〜」
「五月蝿い五月蝿い!私の所為じゃないだろ!」
ラフが更に気を逆立てて来る…
そろそろ落ち着きたいものだがな。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!