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「幸せになってね」 春のそよ風の中語りかけた。真っ白なウェディングドレスを見に纏い、決まりが悪そうに笑う君に、僕はこれしかいえなかった。正直泣きたかった。悔しかった。目の奥から血が出そうなくらいには辛くて、どうしようもなかった。君だけに、君だけに捧げたかった人生を、放り投げられた気分だ。僕は君を許せない。我儘な恋心を胸に、幸せを願う嘘の言葉を君にぶつけた。多分それを察したのだろう。君は優しいから、ありがとうだけ言って立ち去った。頼むから、僕を思って生きていて欲しかった。君と幸せになりたかった。君を幸せにしたかった。でも、あの時からずっと、君が幸せでいて欲しかった。あの言葉を断られ、優しく微笑みかけてくれた君の顔が忘れられない。君は変わってしまった。色褪せることのない、幸せを握る君を、どこまでも追いかける気にはなれない。君は変わってしまったのだ。幸せでいてね。