コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「こいつゾンビに見えないし、本人がそう言ってるんだから大丈夫だろ」
「でも……」
「何!?アタイの発言、おかしいか?」
「……わかりました。生徒会長の名において、安全であると判断しました。入ってください」
「あ、ありがとう!」
三人にキラキラした眼差しで見つめて、教室に上がり込む。頭を潰されて殺されるかと思ったが、紫髪の女の子が信じて受け入れてくれたようだ。
とはいえど、こんな見た目なので彼女以外は僕から離れて見つめている。離れている人たちに、思ったことをぶつけた。
「ほんと、ビビりばかり。嫌になっちゃうわ。こんな世界でビビってるようじゃ、ゾンビに食われて死ぬぞ」
「そ、それはそうかもしれないけど……」
「アタイはゾンビを潰しに行く。止められても絶対に行く。それに良さなさそうなのが来たしな」
「えっ、僕のこと……?」
「そうに決まってるだろ。ほら、二人で退治しに行くぞ!」
手を引っ張られて出ようとしたら、眼鏡をかけた生徒会長が近くに寄ってくる。
「私もいきます。見ているだけでは、食われてしまうかもしれない……。怖いけど、行きます」
生徒会長は、震えた手で近くに置いてある_箒@ほうき_を構えていた。しかし、箒だけでは退治できない。何か鋭い武器が必要だな。
それと生きていくのには、食材が必要だ。飲み物は、玄関の近くにある水道水で事足りるだろう。だが水道も機能しなくなれば、水も確保しなければいけなくなる。
しなければいけないことはたくさんだ。が、今は考えている場合ではない。僕が積極的に倒して、道を確保しなければ。
そんなことを考えていたら、紫髪の女は手にカッターナイフを握っていた。どうやら筆箱から取り出したようだ。彼女はそれで退治するつもりなのか。
紫髪の女は意気込んで言う。
「さ、武器もあるし行くわよ」
三人は女の子と端っこで震えている先生を置いて、教室から出る。廊下を進むと、二体ゾンビがいた。足音に反応してこちらへ向かってくる。
彼女がカッターを使って一体のゾンビの頭目掛けて、刺した。簡単にナイフの刃が入り、バラバラになって倒れた。もう動かない。
女の子はガッツポーズをする。
「やった!倒した!」
「あと一体……。僕が倒そう」
僕は素早く歩き、ゾンビの頭を掴んだ。そのまま力を入れると、簡単に首が切れて粉々に。簡単に倒せて良かったと、安心する。
自分の手を見ると、気持ち悪いものがあったので床に落とした。気色悪い感触だな。うえ……。
ただこのゾンビの体になってから、身体能力が一時的に上がっている。やはりゾンビは力持ちなのだろうか。だとしたら危険だ。
僕は二人に話しかける。
「そういやー、これいつ終わるんだ?倒しても倒しても湧いてきそう」
「確かにそうだな。キリがない。だがゾンビになる種を潰せば、もうゾンビになる人はいない。頑張るわ!」
「今度こそ、戦いに参戦します」
「直斗は足手纏いだから。後ろに隠れていればいいわよ」
「そういうわけには……」
「うるさいな、もう!じゃあ、二人で倒せば?アタイは後ろから見てる」
「えっ……なんでそうなるんですか!おかしいですよね!?」
「アンタはゾンビを倒したいんだろ?男としての実力を見せてみろよ」
「分かりましたよ!私が倒しましょう。えっと、貴方は……」
二人は仲が悪いんだと思って会話を聞いていたら、いきなり話しかけられた。僕は慌てて自分の名前を名乗る。二人もそれぞれ名乗った。
「えっと……優です」
「私は生徒会長をしています。直斗です、よろしくお願いします」
「アタイは花純だ。ヤンキーになりたい痛い女だ」
「自覚あるんだ……」
「で、教室にいた奴は紬だ。怯えていたのは、アタイのクラスの担任、立川だ。どっちもビビリだよな。ありゃ、死んじゃうな」
「ゾンビに突っ込むのも死んでしまうので、どっちにしろ自分の身は自分で守った方がいいな」
「それは言えてる。アタイと優、考え方が合いそうだな」
そんなことを女の子に言われたことがなくて、照れてしまう。それと反対に、彼女は視線を逸らしてそれ以上話すことはなかった。ひたすら、廊下にいるゾンビを三人がかりで倒していく。
階段を下りて一階まで来ると、直斗が持っていた箒が壊れてしまう。前線で戦っていたので、仕方ない。
「くっ……武器がなくなってしまった……どうしましょう」
「仕方ないわね、はい」
花純がポケットからハサミを取り出した。どうやら予備にと持ってきたらしい。ハサミを手渡すと、彼は驚いた表情をする。
「い、いいのか!?もらっても!」
「ええ、いいわ。カッターナイフが壊れて使い物にならなくなったら、教室に入って武器を探す」
「そんなの無茶だ!どう考えても無謀すぎる!」
「は?そんなこと言ってる場合!?自分の身は自分で守れる。心配するな」
「そ、そうか……」
彼女の鋭い眼差しのせいで、直斗は無言を貫く。花純に何を言っても無理だと分かっているからだろう。
僕は体力がたくさんあり、まだまだ戦える。ゾンビになってから、身体能力がおかしいがそれが逆に戦いにて有利になった。誇らしい気分だ。
廊下を進んで水を確保するために玄関近くの水道へ向かう。そこには大きなゾンビが立っていた。
見るからデカくて、太い。こいつは一体、どうやって倒せばいいんだ!?