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宿儺は冷ややかながらも場の空気を支配していた。
すでに彼は、秤金次のの領域内で、静かに動いていたが、その表情には明らかな変化があった。
「……面白い。」
宿儺が呟くと、ひと際強く、呪力が溢れ出す。その呪力が次第に大きくうねり、周囲の空気が変わるのが感じ取れる。
「五条先生の術式…使えるのか。」
伏黒恵が目を見開いた。
宿儺の瞳が、まるで五条悟そのもののように輝き出す。その瞳は、言葉通りに無限に広がる空間を映し出していた。
宿儺はその姿勢を変え、指を鳴らすと、空間が一瞬で凍りついた。
「『無下限呪術』。」
その声と共に、無限に広がる空間が結界として発生し、まるで時が止まったかのように周囲の動きが遅くなる。
宿儺の目は、五条悟がかつて見せた六眼の輝きを持ち、彼の呪力を完全に使いこなしているかのようだった。
「六眼とやらがあればこんなにも制御が効くものなのか、楽しい。」
宿儺は愉悦に満ちた表情を浮かべる。その姿に、伏黒は恐れを感じ取った。
「無限の領域を持つ者…五条先生の力を!」
突然、宿儺は目の前の空間を両手で引き裂く。無下限呪術による「無限」から発せられる力が、周囲の全てを圧倒し始める。
その力が一点に集束した瞬間、宿儺はその手をゆっくりと前方に突き出し、
「『茈」』――!」
突如、爆発的なエネルギーが無限の空間から放たれ、黒紫色の光が全てを貫いた。
「茈!? 五条の……『茈』!?」
秤金次と伏黒恵が驚愕の表情を見せる中、アリシアは冷静にその光景を見守る。
「『無下限呪術』を扱うとは……まさか、宿儺が五条悟の術式を完全に使いこなせるなんて。」
アリシアはその言葉を呟きながらも、宿儺の技を警戒する。
その場の空気は張り詰め、まるで戦争のような気配を漂わせた。宿儺の『茈』は、ただの攻撃ではなく、全ての物質を消し去る力を持っている。それが今、確実に目の前に迫っている。
「待った…!」
アリシアがその場で踏み込んだ。
その目には強い意志と覚悟が宿っている。
「このままでは、私達全員が消し飛ぶ。」
アリシアの手が呪具を構える。その呪具には、未だ使われていない力が宿っている。
「秤、伏黒! 時間を稼ぐわよ。私が最後の手を使う!」
秤金次と伏黒恵は、アリシアの決意を感じ、即座に動き出す。
アリシアはその呪具を構え、目の前に広がる無限の空間に立ち向かう準備を整えた。
「最初から全力を出せばよかった……。」
アリシアが呟いたその瞬間、彼女は呪具に宿る力を解放し、宿儺の力に立ち向かおうとした。
しかし、宿儺の冷たい瞳がアリシアに向けられる。
「ふふ、面白い。だが、終わりだ。」