ウィスが魔物の残骸を見下ろして立ち去ろうとしたその瞬間、突如として地面が震えた。
「……ん?」
振り返ったウィスの目の前に、新たな魔物が現れた。その姿は、これまでのものとは明らかに違っていた。
見た目は、まるで人型に近い形をしており、その顔は目がなく、ただ無機質な金属のような質感でできていた。
さらに、その全身には無数の魔法的なエネルギーを帯びた回路のような模様が走っている。
「これは……新型か?」
ウィスの目が鋭くなる。
新たな魔物は、これまでのものとは違い、戦闘力が桁違いだった。
地面が震えるほどの足音を立てて、一歩、一歩とウィスに近づいてくる。
「面倒くさいな。」
ウィスは冷徹に呟き、すぐに身体を低く構えると、全身の筋肉を使ってすぐさま動き出した。
その動きは一瞬で、魔物が何か反応する前にウィスは魔物の目の前にまで接近していた。
「行くぞ!」
ウィスは全力でその拳を魔物の胸部に叩き込む。
だが、金属のような硬い外装にウィスの拳が当たった瞬間、金属音が響き渡り、魔物は少し後ろにバランスを崩しただけだった。
「……ちっ、硬いな。」
ウィスはすぐにその姿勢を直し、腰を低くして再度体勢を整える。
新型魔物は一瞬の隙をついて、ウィスの頭上に鋭い刃物のような腕を振り下ろしてきた。
その速さに、ウィスは反応が遅れることなく、そのまま空中に跳躍して回避。
魔物の腕が空を切ると同時に、ウィスは再度突進し、今度は魔物の腹部を蹴り上げた。
「――はっ!」
ウィスの蹴りは、以前の魔物と違って強い反発力を感じる。魔物の表面がわずかに歪み、そのままウィスは次の一手を打つ。
ウィスの足が地面に着くと、即座に彼は背後に素早く回り込み、強烈な膝蹴りを魔物の背中に叩き込んだ。
魔物はその勢いで前のめりに倒れ込む。
「なかなかやるじゃねえか。」
ウィスは冷笑を浮かべながらも、その隙に一気に魔物の頭を押さえ込み、両手でその首を締め上げた。
「――だが、お前も俺の敵じゃない。」
ウィスの腕力で、魔物の首はぐるぐると回され、やがてギシギシと音を立てて折れた。
魔物の体は、力を失ってその場に崩れ落ちる。
だが、ウィスはすぐにその体を踏みつけ、さらに力を込めて踏み砕く。
「……力こそが全てだ。」
ウィスは魔物の倒れた姿を見下ろしながら呟く。その目には、何の感情も湧き上がらない。
その時、再び大地が震える音が響いた。地面にひびが入るほどの激震。
ウィスはその瞬間、何かを察知したように視線を向けると、遠くから迫り来る新たな集団を確認する。
「……またか。」
次々と出現するのは、無数の魔物たちだった。
どれもがウィスに向かって一斉に突進してくる。だが、その姿勢はすでにウィスには予測済みだ。
「俺を試したいなら、もっとまともなものを出してこいよ。」
ウィスは軽く肩をすくめると、そのまま大きく息を吸ってから、一気に前方に走り出した。足元を蹴る音が大地に響く。
先頭に立つ魔物がウィスに近づくと、ウィスは躊躇なくその体を左右に振りながら、魔物を圧倒的な速さで倒していく。
「これで、終わりだ。」
ウィスの手が一振りで魔物の腕を切り裂き、素早い反転で背後からその首を断ち切る。
さらに次々と襲い来る魔物たちを、ウィスは一切の躊躇なく肉体だけで迎撃していった。
それぞれの一撃がどこまでも正確で、無駄のない動きで、まるで戦場を舞うかのように魔物を次々と無力化していく。
ウィスの足音は、もう止まることがない。
コメント
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今回も神ってましたぁぁぁぁぁぁあ!!!!! ウィスくん...貴方もう戦えば戦うほど強くなっていってるじゃない... お母さんびっくり!!(?) おお〜...人型もいるのね...厄介なのか以外にそうでも無いのか...どうなんだろ?? 次回もめっっっさ楽しみいいいいいいいいいぃ!!!!!!