「メタナイト…僕、歌が下手なのかな…。」
カービィはメタナイトに尋ねた。突然のことだった。
「ハルトマンワークスカンパニーのファミリーセット!?」
ある日、ポップスターにスージーがやってきた。なんだかセールスの雰囲気だったが、全く違く、前のお礼の一つにと試作品を持ってきてくれたのだそう。
「ええ!こちら家族や友人と仲良く遊べるセットでございます!」
「ええと…何が入ってるの?」
バンダナワドルディは尋ねた。
「ええと、十種類のボードゲームやテレビゲーム…他にもカラオケなどで…。」
カービィがスージーの話を遮ってこう言った。
「えぇ!?カラオケ!?僕やってみたかったんだ!」
バンダナワドルディは背筋がぞっとした。その理由はカービィの歌が絶望的で破壊的だからだ。
「僕の家、カラオケルームっぽいから持って帰るね!また明日!ワープスター、帰ろ〜!」
カービィはカラオケのセットを持ってすごい速さで帰っていった。
「ではワタクシも失礼します〜。」
スージーも帰って行った。残されたのはファミリーセットを持ってぽつりと立っているバンダナワドルディだった。
「これ、大王様に渡してみようかな…。」
「ってことが昨日あって…。」
カービィは勝手にメタナイトの隣に座った。しかもここはハルバード艦内であり、カービィは侵入したと考えられる。
けれどメタナイトは何も気にしていなかった。…カービィの話も。
「まず手始めに優しく歌ったら…点数が低かったんだよね。」
メタナイトは驚いてカービィの方を向いた。
「カラオケの機械は壊れなかったのか?」
「うん!壊れるわけないでしょ!」
メタナイトは歌以前にカラオケの機械の心配をしていたのだ。さすがはハルトマンワークスカンパニーのカラオケ。只者ではない。
「僕、どうやったらもっともーっと歌が上手になるのかな?」
メタナイトは自分の事を考えた。どうやって自分腕を磨いたのか思い出していた。
「練習すればいいのではないだろうか?」
「そっか!僕には練習が足りなかったんだね!」
「ああ、頑張るといい。」
「メタナイト!ありがとう、じゃあね〜!」
カービィは手を振って出て行った。しばらくしてハルバードが一番破損しているのが見つかった。カービィの所為だと考えられる。
「ねぇ、デデデ〜。」
「なんだ、お前か。どこから入ってきたんだ?」
「…門からだよ?」
デデデ大王は少し悩んでからまたカービィの方を向いた。またワドルディたちに簡単に通してもらったのだろう。
「なんだ、用事がないならさっさと帰れ。飯などやらないぞ。」
「そうじゃなくて僕の歌の話で…。」
「…なんだと?」
デデデ大王は少しだけ下がり、こっそり耳栓を取り出そうとしていた。
たがカービィは歌わず、話し始めた。
「カラオケでたくさんたくさん練習したんだけど点数が低くて…。デデデならどうする?」
「あ、ああなんだ、歌わないのか…。うーん、オレ様なら…練習する前に上手いと思うぞ。」
「…デデデ、教えるの下手だなぁ。」
カービィはデデデ大王に煽るように笑った。
「な、なんだとー!?そのカラオケを貸せ!すぐに100万点稼いでやる!」
「えぇ、カラオケは100点までだよ〜?」
「知らん知らん!さっさと貸せ!」
「貸さないもんね〜!」
二人がいがみ合っていて今にもハンマーを取り出して喧嘩になりそうだったが、そこにバンダナワドルディが入ってきた。
「わわ、二人とも!何しているんですか!?」
二人は手を止めてバンダナワドルディを見た。
「ああ、そんなことがあったんですね…。」
バンダナワドルディは一部始終を聞き、少し呆れながら頷いた。
「カービィ、僕、解決策わかったかも。」
「ええ〜っ!?なになに〜?」
「オレ様にも教えろよ!」
二人はバンダナワドルディを覆うようにして囲んだ。
「みんなでやれば練習になるんじゃないでしょうか?」
カービィとデデデ大王は声を合わせて言った。「なんだって〜!?」
「なんだと〜!?」
「ってことで、メタナイトも呼んだよ〜!」
「なんでだ。」
「私も来たくなかった。」
「お菓子用意したんでぜひ…。」
メタナイトはお菓子を食べようか迷っているようで、震えている。
それを気にせずにカービィはマイクを持って歌おうとしている。
「よーし!早速準備運動として歌うよ〜。」
その場にいる者全員がヒヤッとした。そしてバンダナワドルディが勇気ある一言を言った。
「すごーく音量下げて歌ってみたら?きっと点数も良くなるよ!」
「ええ!?本当?やってみるね!」
だがしかし、カービィの小さめの音量はライブくらいに大きいのだ。一同心配になりながらカービィの方を向く。
カービィは歌い出した。
「どうだったかな?僕の歌!」
バンダナワドルディの一言でカービィの声量はとても小さくなり、聞きやすくはなった。けれどもまだ音程があってなく、勝手にアレンジも入れている。
「とってもよかったよ!」
「ま、まあまあと言ったところだな。」
「音程を合わせればいいんじゃないか?」
「ええ?ならデデデとメタナイトも歌ってみてよ。」
カービィは二人にマイクを向ける。
「し、仕方ないな!オレ様も歌ってやる!」
「デュエットといこうか。」
そして二人も歌い出した。
「ふぅ、疲れたな。」
「君は邪魔になるように歌っていたからとても迷惑だった。」
「な、なんだとー!?」
「メタナイトの歌、良かったよ〜デデデはうるさかったかも!」
「貴様っ…!」
バンダナワドルディは静かにその光景を見ている、そしてふふっと微笑み、こう言った。
「みなさん、これから上手くなりますよ。いつかコンサートを開けるといいですね。」
「おお、じゃあオレ様は素晴らしい歌とドラムを叩いて参加するわい!」
「コンサートよりもライブになりそうだな。」
「僕はベルを鳴らしてデデデと演奏するよ!」
「君のベルは攻撃になるからやめた方がいい。」
「ええ〜そうかな?」
外はいつの間にか暗くなっている。みんなは眠くなるまで歌った。
いつかコンサートが開けるように。
オチなし。そして続かない。
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