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毎日練習場に行くのが楽しみになっていった。私は家に居れば煙たがられるので早く起きて練習場へと向かっていた。
「春樹…早いんだね。」
私の言い方は相変わらずだった。
「あ。流華も早いじゃないか。」
私達はよくどれだけ弓が的へ確実に当たるかを競っていた。でも私がどれだけ頑張っても春樹には敵わなかった。
「春樹は強いね。」
「流華も強いよ。今回は結構焦った。」
こんな日々が毎日続けばいいのに。【戦争】なんて無ければよかったのに。そんな所に人影がやって来た。
「あ~!春樹!流華!おはよう。」
そんな笑顔は誰でも吸い込まれていく。
「あ!日向おはよう。今日は日向が二番目だよ。」
そんな笑顔に釣られ、春樹は私といるよりも楽しそうだった。きっと日向の事が好きなのだろう。私はここで恋を諦めた。
「あ。流華…おはよう。」
無表情だった私に焦り、日向は直ぐに優しく話しかけて来た。
「おはよう。」
冷たい言葉が練習場全体に響いた。
「私、1人で練習したいから。」
そう言い、クナイの練習へと向かった。
もしも戦場で弓が使えなくなったら隠し持っているクナイを使う。そう教えられて来た。私は弓よりクナイの方が向いているのかもしれない。でも家の伝統を傷つけたく無かった。私という出来損ないの無駄な努力。その様な事は分かっていた。そんな練習をしている時、横から別のクナイが飛んで来て、私の髪をまとめていた紐を切った。風が私の髪を靡かせる。
「誰?」
目線の先には見慣れた姿があった。
「やっぱり私はクナイ使いこなせないかー..」
「ッ!」
「ごめん。少し驚かせたくて。」
私が「何か用?」と聞くと日向は少し前を開けてから話した。
「“戦場へ出ろ”だってさ。」
遂にこの時が来たのか。
「そう。それだけなら早く出て行って。」
日向は声を荒げた。
「私達、戦場へ行くんだよ!?命が危なくなるのに平気なの!!??」
声を荒げた日向は初めてだったが私には響かない。
「なら私達は何故ここへ練習しに来ているの?」
日向の顔からは笑顔のかけらも無かった。
「戦場に出る為だよ。」
死ぬのは別に怖くなかった。私の人生はずっと死んでいる様な物。誰からも必要とされなくて、別にあってもなくても同じな戦力。私はこの命にきっと嫌われているのだろう。