──血塗られた戦場に、怨嗟の声が響く。
「……久しぶりねぇ?」
蘭華姫 葵がクスクスと笑いながら、指をひとつ鳴らす。
その瞬間、主の前に、見覚えのある影が現れた。
「……嘘だろ……」
影──それは、かつて主を地獄に突き落とした“いじめっ子”の亡霊だった。
口元はゆがみ、かつてのように嘲笑を浮かべている。
「お前、まだ生きてんのかよ? 相変わらず弱っちいなぁ?」
「……っ!!」
主の手が震える。
背筋を這い上がる冷たい感覚。
思い出したくもない記憶が、葵の幻によって目の前に再現される。
「……さぁ、どうするのかしら? ほら、あなたが一番見たくないものよ♪」
葵は優雅に双剣を振り回しながら、主の反応を楽しんでいる。
「……ッ……」
逃げたい。
目を背けたい。
でも──逃げたら、また負ける。
主は震える手を止め、巨大な絵筆を握りしめた。
「……お前なんかに……負けてたまるか……」
絵筆が宙を舞う。
主の心に湧き上がる怒りと決意が、水の形を取る。
「……これで……終わらせる……!!」
詠唱、開始──
「蒼海の深淵」
青の絵具が筆の先から弾ける。
「烏の羽根が濡れし刻」
水の波紋が地面を這い、亡霊の足元を包み込む。空気が震える。筆の軌跡が、水流となり、戦場の中心にうねりを生み出す。
主の体から放たれた水が、まるで怒れる神のように亡霊を包み込む。
「……消えろ。」
水が奔流となり、亡霊を飲み込む──。
「ぐ、ああああああああ!!!」
断末魔をあげ、いじめっ子の亡霊は泡となり、消えていった。
──静寂。
「……へぇ♪」
蘭華姫 葵は、口元を楽しげに歪めた。
「やるじゃない? ちょっと気に入っちゃった♡」
主は肩で息をしながら、絵筆を握りしめる。
「……次は……お前を……沈める……!!」
葵の双剣が、月光を受けて輝く。
「ふふ……♡ やれるものなら、やってみなさい?」
──そして、戦いは新たな段階へと突入する──。
コメント
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葵たん頑張れ頑張れ♪ 好きよ 好き あらん
主かっけぇぇぇ…!!!✨✨まさかこんなかっこいい一面があったとは((?)続き楽しみです!!