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今回も神ってましたぁぁぁぁぁぁあ!!!! あらやだウィスたんモテモテじゃん(?) まあめちゃ強いしね、そういうことでしょう。多分() 今回短くてすまん() 次回もめっっっっさ楽しみいいいいいいぃ!!!!!!!!
──中層、第九教育区画。午後の鐘が鳴る前、階層は灰色に沈んでいた。
そこに、夜咲 叶霊はいた。
校舎裏の小道、フェンスの向こうにある立入禁止区域──その先の、古びた井戸を眺めていた。
風が吹いても、髪一つ乱れない。
何かを思っているようで、何も考えていないようにも見える。
いつものことだ。誰も彼女の表情を読み取れた試しはない。
その時、後ろから足音がした。誰かが彼女を呼ぶ。
「……夜咲。こんなとこで何してんの?」
クラスメイトの一人が訝しげに聞いた。だが、彼女は振り返らず、井戸を見つめたまま口を開く。
「……うるさくない場所が、好きなだけ」
「はぁ……」
「それに……この井戸、変だよ。昔から」
「変って、お前……怖ッ……」
彼女はようやく相手に視線を向ける。冷たいが、敵意も愛想もない。
「まぁ、よろしく」
まるで、これから何か起きることが“既に決まっている”かのような言い方だった。
──夜咲叶霊。中層に住む学生。
無表情。無感動。無関心……に見えるが、彼女は“見て”いる。
井戸を。世界の“綻び”を。
その眼差しの奥には、誰も知らない“感情”が潜んでいる。
そして彼女は──《ウィス》の次の標的、“魔を孕む者”であった。
誰も知らないうちに。彼女自身すら、それに気づいていないまま。