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「アーロノイド、あんたの死刑が決まったわ。」
あぁ、どうしてこうなってしまったのだろう。神なんて、居なかったんだ。
俺はアーロノイド・クリスティ(21)。偉大な五大王家の一つ、クリスティ家の長男として産まれた。そんな俺には4人の弟と妹がいる。
ヴァイオレット・クリスティ(21)
俺の双子の妹。派手な物が大好きなお嬢様。
ナディア・クリスティ(17)
研究と勉強が大好きな弟。いつも部屋に籠ってる。
エアリス・クリスティ(14)
選ばれし者という称号を持つ聖女。
メイジー・クリスティ(9)
末っ子でわんぱくな女の子。
そんなメイジーは明後日で10になる。そんな末っ子の為に俺はナディアと協力して決して枯れることのないメイジーという花を造ることに成功した。通称『ダイヤモンドメイジー』。ダイヤモンドのように光輝くこの花を明後日、プレゼントする。
コンコン
「国王様がお呼びです。至急、部屋に来い…と。」
「分かった。今すぐ行くよ。」
どうしたのだろう。父上が俺を呼ぶなんて…よっぽどのことだぞ?そう思いつつも俺は父上の部屋に着く。
「失礼します、アーロノイドです。」
俺が父上の部屋に入るとそこには妹たちもいた。
「どうかしましたか?」
「あんたそれ、本気で言ってるの?」
「え?」
「アーロノイド、お前はクリスティ家の恥だ。」
何がどうなってるんだ。何の事を父上やヴァイオレットは言っているんだ?
「何の事ですか?」
「これを見てもそれが言えるのか?」
父上は俺に記憶の水晶を見せた。この水晶はいわゆる監視カメラだ。
「…っ!」
その水晶には俺と隣国の王妃、フィオリア妃が写っていた。しかも熱いキスを。こんなこと俺はやっていない。
「隣国の王妃とこんなことをするとは、大罪だぞ?」
「ち、父上!兄さんがこんなことをするはずはない!」
「黙れ!…アーロノイド、少し頭を冷やせ。」
そう言うと警備隊が入ってきて、俺の両腕を掴んだ。
「お兄ちゃん、どーなるの?」
「…。」
「くそっ!なんでなんだよ!」
冷たい、光の入らない牢。その中に今、俺はいる。…そう言えば父上は俺が嫌いだったな。
俺は母上が16のときに産まれた。まだ体が完全に大人になっていなかった母上は俺とヴァイオレットを産んだあとすぐに死んだ。そんな俺とヴァイオレットを父上は嫌っていた。しかし、ヴァイオレットは様々な好成績を残した。その日から、父上は俺だけを嫌うようになった。
「こんにちは♪アーロノイド。」
「フィオリア妃…何故。」
「アーロノイド君に渡したいものがあってさ。はい。」
ニヤニヤした顔でフィオリア妃は俺にスノードロップを渡してきた。花言葉は『希望』、そして…『あなたの死を望みます』。
「じゃ、早く死んでね。」
牢の中にはスノードロップが。けど、どうしてフィオリア妃は俺に死んでほしいのだろう。五大王家の中でも下の方なのに。…分からない。
「寒い…」
日が当たらないせいでずっと牢は寒かった。
ガチャ
地下牢のドアが開いた。そこからはヴァイオレットが出てきた。真っ赤な、豪華なドレスを纏って。
「アーロノイド。あんたの死刑が決まったわ。 」
「…は?」
「日時は明日。良かったわね。」
どうして、どうしてそんな急に??頭を冷やせと言って殺すのか?
「はーぁ、せいせいするわ。あんたがいなくなってくれるから、後継者は、私になる。」
いや、死刑が決まったって、俺は信じる。必ず神は味方…してくれるはずだから。
「じゃ…死ぬまでの間の人生、楽しみなさいね。」
…一番しんどかったのは、メイジーの誕生日まで生きれないことだった。ナディア、ダイヤモンドメイジーは、頼んだぞ。
ー次の日ー
暗い暗い牢で刑は執行されることになった。
「刑は極秘で行われます。」
目の前には父上と騎手隊だけ。どこにも妹たちはいなかった。…まぁ、それでいい。こんなとこ惨めで醜いから。
「最後に言い残すことは?」
「メイジー、君の誕生日が涙で溢れませんように。」
ただ、ただそれを祈るばかりだった。
血濡れた視界。そして水をあげていないのきも関わらず、みずみずしく綺麗に咲いているスノードロップ。俺の意識は数分も経たないうちに失くなった。