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「ねえちょっと真面目に話聞いてんの!!」
はあい、おはよう。
まだ朝の六時だって言うのにこんなにとっても元気いっぱいなのはあたしのママ。
学生時代の自分は体育しか頑張ってこなかったって毎度自慢気に話してくるくせに、あたしにプレッシャーかけまくってくるゴミ。
そんなゴミの隣であたしを見下ろしてるのがあたしのパパ。
こっちはあたしが楽しいひとときを送るのを見届けた後で『楽しんだから、勉強頑張ろうな』って後出し契約持ち出す悪魔。
そんなゴミと悪魔の娘で、起きた瞬間から今まで怒られてるのがあたし。
ちなみに大野佳子って名前だったりする。
「提出物も出さなければ、こんな点数にこんな成績で!お前もう小町高以下だな、わかってんの?」
ゴミの血を引き継いだあたしは自覚ありの極度のめんどくさがりで、しかも正直なところ頭が悪くないのでそれに驕ってテスト勉強をサボってしまったわけだ。
その結果、別に周りと比べれば全然いいのだがあたしにしてはまあまあな点数をとり、順位が下がってしまった。更に未提出の課題が発見されてしまったために、とうとう怒りを噴火させちゃったっていうのがここまでの経緯。
ゴミがあたしを罵るために使った小町高っていうのは、このあたりで一番偏差値が低くて民度も悪めな高校。ただでさえ田舎で高いって言われてる学校の偏差値ももっと広く周りを見てみると全然低い中での最もだから、相当低い。
だらだらと過ごしていたら受験生になってしまったあたしのこと心配してくれてるのは、これでも一応理解してるつもり。それに、あたしだってなんにも思うところが無いわけじゃない。少なくとも言葉一つ、結果一つがしっかりと突き刺さってる。実際その通りだから、自分でもやばいと思ってるから何も言えないのが悔しい。だから、今、前すらよく見えなくなるくらい泣いてる。
「あたしが話してんだからこっち見ろよ!」
ぱん、とあたしの頬が綺麗に乾いた音を立てた。一泊遅れてじわじわと熱と痛みが広がってくる。余計に目から水分が溢れ出てくる。
いたい。
くそが。たたきやがった。
何が痛いって、心が痛いよ。
ゴミは今、あたしの頬を通して心を叩いた。
こんなこと考えてる方がイタいか?それでも叩かれた頬よりも内側の方がじくじくと痛む。
「ちゃんと課題をやりなさい。提出しなさい。ねえ、本当に高校行けないよ?あたしもう勉強のことも進路のこともなんにも口出ししないからね。全部佳子がやりな」
とか言って。何回そのセリフ聞いたと思ってるの。
どーーーせ口挟まずにはいられないくせに。
けっ。ばーーーーか。
なんて口に出して言えるわけないんだけど。でもあたしだってムカついてるもんね。
叩きやがって。泣かせやがって。今日も普通に学校なのに。ほんと最悪。
のろのろと立って、仕方なしに顔を洗って朝ごはんを用意する。
目は腫れていた。
「おはよゔ」
何もつけていない味気ないトーストをかじろうとしたときだった。
カスカスの声が寝起きでガスガスになった妹が起きてきた。
あゝ、あたしは今日だってこいつのせいで死にたくさせられるんだ。
もうそれだけで今日を生きる気がすり減った。