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『琥珀さん、ごめんなさい…』
『謝らないで、琥珀が悪いの。琥珀こそ、あんな酷いこと言ってごめんなさい…』
それは違う。僕が、悪いんだ。
『僕が琥珀さんを傷つけたから、僕が悪いよ』
『・・・』
琥珀さんが黙ってしまった。
そういえば、
琥珀さんのお気に入りのネックレスが、ない。
『琥珀さん、ネックレス…いや、なんでもない…』
そんなことを訊く場合ではないな。
『壊れたの…ごめんなさい。』
ネックレスのことかな、
『どうして、謝るの?』
僕は、関係ないはずなのに…
『あのネックレス、あまから貰ったから…』
そうだったのか…
僕があげたものを大事にしてくれたんだ。
『大事にしてくれてありがとう。他のでよければまた買うよ?』
『ありがとう、でもいいの。指輪があるから…』
あんなに大事にしていたのに、
大事にしてくれてたのに…
『あま、琥珀って呼んでほしい…』
急にそんなことを言われたので、
『え、こ、琥珀…?』
『ふふ、嬉しい。』
琥珀さんが笑顔を見せてくれた。
『怪我は大丈夫?』
『うん、大丈夫だよ。』
本当はどうなんだろう。
でも、琥珀さんは僕のことを嫌ってはいないみたいだった。
それが、僕も嬉しい。
『あま、琥珀のこと、嫌いにならないで…』
『うん、嫌いにはなってないから安心して。』
『好き、』
『・・・』
今…
好きって…
・・・
僕は、まだ言ってなかったな。
『琥珀のこと、好きだよ。』
『嬉しい。ずっと、そばにいさせてね?』
琥珀さんが、涙を流した。
でも、琥珀さんは嬉しそうだった。
僕は部屋を出て、
『僕はもう大丈夫なので、鬼塚さんに伝えてきますね。』
花咲さんに言った。
『りょーかーい。』
それだけが返ってきた。
雑だなぁ。
『さっきのことを詳しく知りたいなら、鬼塚に訊いてみれば?アタシもよくわかってないから。』
『はい、分かりました。大変お世話になりました。』
そう、頭を下げる。
『あまり無理はしないこと。あと、あの子のために、自分を大切にしろよな。』
ぽん、と頭をを叩かれる。
『ありがとうございます。』
そう言って別れ、
鬼塚さんのところへ行く。
『もういいのか?』
『はい。もう大丈夫です。』
いつもより、怖く感じる。
あんなことをしたから。
なんて言われるかわからないから。
『あのことは、なかったことにした。だからお前はこれからも、普通にしてていい。』
『そう、ですか…』
でも、思っていたのとは違った。
『どうして、隠してくれたんですか?』
『これ以上、剣士の評価を下げたくないからな。』
『申し訳ございませんでした…』
まぁ、そうだろう。
『ふっ、嘘だ。その方が都合が良いってのもあるけど、剣士の皆から、特に第1隊のヤツらにお前のことを庇って欲しいと言われたからな。』
『っ…』
『それに、あの男たちは指名手配犯だったんだ。だから、お前がやったことは間違っちゃいない。よくやったな、あの状態で。』
こんなことを言われるなんて、
予想もしていなかった。
『あまり気にするな。お前がしたことは正しい。胸を張れ。』
僕のしたことは正しい。
そう言ってくれたことが嬉しかった。
僕は深く頭を下げることしかできなかった。
『今日は帰って、また明日来るといい。』
『本当に、ありがとうございます…』
僕は、涙を流しながら言った。
僕は、部屋を出る。
そして、琥珀さんと家に帰る。
今日は、すぐ近くの家に帰ろう。
家に帰ってからは、ゆっくりしていた。
ーはぁ、
全く、面倒なことをしてくれたな。
でも、アイツの気持ちがなんとなくわかってきた気がする。
死にかけているのにもかかわらず、あの子のために諦めなかった。
そして、自分が悪者になるとわかっているはずなのに立ち向かった。
自分が死ぬかもしれないのに、
アイツは戦った。
それは、
俺にはできなかったことだ。
『世の中には、変わったヤツがいるもんなんだな。』
アイツなら、俺にはなれなかったものになれるかもしれない。
『アイツの未来が楽しみだな。』
さて、仕事に戻るか。ー