BL
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六奏 赫百
MOB→M
百side
うるさい。
こんな思いで始まる今日は、果たしていい日になるのだろうか。
耳元でジリジリと鳴り続ける目覚まし時計をただ眺める。
『おはよ、百。今日朝一緒に行こうぜ。』
スマホの通知に気づいて急いで確認する。
赫からだ。
『うん』
いつも通り、何も変わらないように。
特に変哲もない、ただの返事をして、目覚まし時計を止めた。
「…芽が出てる…。」
お母さんが、部屋に緑を置くといい、と言って買ってきたピンクの植木鉢には、先日までは何も無かったはずなのに、小さな緑色の芽が顔をのぞかせていた。
「…」
なんとなくめんどくさくて、水やりをさぼった。
赫「おはよ、百」
百「おはよ」
いつものところで合流する。
朝の7時半。
赫「…1時間目から古典とか終わってるわ」
百「わかる、帰りたい。」
普通の友達として、普通の返事をする。
赫と友達でいつづけるために。
赫「お、めずらし、百のアホ毛~(笑)」
百「え、嘘っ、どこ?(頭触)」
普通に、普通に。
この思いがバレないように。
M「百~、これ持ってってくんね?」
百「…うん、!これどこまで?」
M「まじ!?美術準備室まで~!よろしく!」
面倒くさい。
本当ならしたくない。
でも、
赫「~~~(笑)」
M「~(笑)」
赫に少しでも、いい子だと、思われたい。
赫「~?(笑)」
あ、赫…
瑞「!!…」
黈「…!~~~?」
茈「~~(笑)」
翠「~~~~、!!」
赫の周りにはいつも人が集まる。
赫と話したい。
でも、わざわざ俺も輪に入ろうとはしない。
ボロが出たらだめだし、赫にとって、特別な友達でありたいから。
…この思いは、叶わなくていいから、せめて、特別な友達ぐらいには…っ
赫に放課後、一緒に帰らないか、と誘われた。
勿論俺の答えはYESだ。
赫「ごめん待たせた…(走)」
百「委員会でしょ?しょうがないよ(笑)」
赫「まじですまん、ありがとう(笑顔)」
あぁ…、この笑顔大好き。
赫「…、?」
百「ぁ、ごめん。早く帰ろっか。 」
だめだ。顔に出したら。
普通の友達じゃなくなっちゃう。
赫「…あのさ、」
帰り道、いつもと同じように、他愛もないくだらない話をしながら歩いていた。
赫「俺、お前に言いたいことがあって、」
いつもと同じ。
いつも通り。
百「…どうしたの、そんな改まって(笑)」
怖い。
この関係が壊れそうで。
赫「…俺、お前のことが前からずっと…っ(頬赤)」
だめだ。
百「あ、ごめ、電話っ…(焦)」
かかってきてなんかないスマホを耳元に当てる。
百「…え、おばあちゃんが?」
誰とも話していないのに、不自然に無言の時間を作って独り言を言う。
百「うん、…うん分かった!急いで帰るね」
こんなこと、普通だったら親には言わない。
でも、赫のあの言葉の続きは聞きたくない。
赫「…」
百「ごめん赫。親が久々早く帰って来れるから、夜飯外で食べることになって…ちょっと急いで帰るわ。」
ごめんね赫っちゃん。
赫「…ならしょうがねぇな。早く帰れ。」
百「ほんとごめんっ…その話また今度聞かせて」
赫「…ぉう、(作 笑顔)」
ごめんねっ…
嬉しい。
嬉しいはずなのに。
「っ…(泣)」
帰ってきて直ぐに部屋へ入り、ベッドに倒れ込む。
枕で声を押さえつけながら、必死で自分と戦う。
「だめ、だめなのにっ…、(泣)」
赫っちゃんはすごく人気だ。
それこそ学校内で一番モテるのでは無いか、と思うほどに。
「ッやだよぉっ、…(泣)」
もし、赫っちゃんの告白をあのまま聞いて、俺の気持ちに素直になって、OKしたら、俺は幸せなのだろうか。
〝お前みたいなやつが赫と付き合うなんて有り得ない〟
「…、(泣)」
〝調子乗ってんじゃない?〟
〝赫くんの足引っ張ってるの自覚してないのかな〟
「っ…(泣)」
〝ごめん、百。やっぱり別れよ? 〟
「ぅあぁぁッ…!!!(泣)」
もうすぐ6時半だ。
すぐそばに置いてある目覚まし時計をぼんやりと眺める。
「…」
ジリジリと振動し始める目覚まし時計。
しばらくその様子を何もせずにただ眺める。
秒針がチクタクと音を立てながら、俺の心を急かすように回る。
「…だめだよ、百。諦めないと。」
振るって、断るって決めたんだ。
この関係が壊れて欲しくないから。
『百、おはよ。今日も一緒行ける?』
いつも通り、6時45分に赫からメッセージが届く。
…いつもの俺なら、直ぐに画面に食いつくだろう。
「…」
気付かないふりをして、部屋から出ようとベッドから出る。
「ぁ、」
植木鉢の芽は枯れていた。
お母さんに嘘をついて学校を休んだ。
「何かあったら連絡してね」
そう言って仕事へ向かった。
「…何も無いと思うけど」
誰にも聞かれない、無意味な言葉を発した。
ふとスマホを開くと、朝来ていた赫からのメッセージが目に入ったが、未読のまま横にスワイプした。
だめだよ、百!
赫っちゃんと結ばれないで!
「おい百~?口にクリームついてんぞ(笑)」
「え、どこどこっ!(焦)」
「こーこ(笑)(舐)」
「ふぇっ、!?(照)」
*「かわい(笑)」*
「百、大丈夫か?」
「ちょっと熱があるだけ…」
「無理すんなよ(額 口付)」
「っ、!?なにしてっ(照)」
「口にしたら風邪移っちゃうから(笑)」
「百、愛してる」
「…」
「俺もっ…!!」
だめだよ、百。
赫っちゃんには釣り合わない。
だめだよ、百。
もう二度と、今の関係には戻れないよ。
「もう嫌だっ…(泣)」
身体の力が一気に抜けた。
茈side
赫「っ百ッ…!(泣)」
茈「…百…(絶望)」
瑞「百くんっ(泣)」
黈「百〃…、?嘘、だよねっ…?(泣)」
翠「ッ百〃っ…(泣)」
百の親が仕事から帰宅すると、息子が首を吊って死んでいた。
赫「百…」
そんな、漫画みたいな話、実際に起こるんだな。
赫「百ッ!!!!!(大泣)」
ずっと百のことが好きだった赫が大声を上げて泣いていた。
俺ら4人でもこんなに苦しいのに、赫は今、どんな気持ちなんだろう。
赫「あの時っ、言っときゃ良かったッ…(泣)」
瑞「赫くん…」
よく赫からは恋愛相談をされていた。
百について。
赫「…俺が、言いかけたから、?」
翠「赫ちゃん、それはっ、」
俺らも全力で、心から応援していた。
赫「俺のせいでっ、?(泣)」
黈「赫っちゃん、その考えはダメだよ、!」
百も脈があるようなので自然と結ばれると思っていた。
赫「…俺のせいで、百がっ、」
茈「おい、そのふざけた考えは捨てろ」
それなのに、
こんなことになるなんて。
赫「だって、だって、それしかっ…」
翠「そんなことないから、ね、?」
目の奥がだんだんと黒くなっていく赫を必死に宥める。
赫「…」
瑞「…落ち着いた、?」
ぺたん、と床に座り込んだ赫の背中を瑞がさする。
悲しさと、赫への心配がぐちゃぐちゃしている。
赫「…外の空気、吸ってくる。」
茈「おう、」
急に立ち上がった赫に驚きながら返事をした。
この時、何でとめなかったんだろう。
数分後、外から悲鳴が聞こえた。
M「いやぁぁぁぁ!!!(泣)」
驚いて窓から外を見ると、人と思われる肉塊がコンクリートにちらばっていた。
頭と思われる部位は原型を留めておらず、てっぺんが潰れている。
腕はあらぬ方向に曲がっており、骨が飛び出ていた。
足はふにゃふにゃに曲がっており、骨がないみたいだ。
コンクリートには何かわからない臓器がぶちゃぶちゃになってこびり付いている。
瑞「…なにあれ、!?ぐろっ、…救急車っ、」
黈「ッまって、!あの服っ!?」
気づいてしまった。
翠「は…、?」
気付かないふりをしたかった。
茈「ッ赫っっっっ!!!!!!!」
読み切り短編
コメント
7件
今回も最高すぎました。 師匠の表現の仕方好きです!
ほんと共依存、2つの意味でうまいよね😭✨ どろどろも依存系も上手く書けんから見習いたい🫣
わーやばいめっちゃ好きです😭💖 表現の仕方が好みすぎて泣きそうです 投稿ありがとうございます🙌🏻⭐️