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斗環です‼︎♡ありがとうございます♪すごいモチベになっています‼︎ この話、急いで書いたのでちょくちょく変わってるかも知れないけど、気にしないでください。 やっと一番書きたかった所に行きます‼︎楽しみにしててください。
「今日はな、この子を連れて行くことにしたんだ‼︎」
「「「「は?」」」」
全員が反射的に呟いた。どういう事だろう。連れて行く?どこに?
「あの、お言葉ですが今は安静にしておいた方が良いので‥。」
一番に声を出したのは、白衣の人だった。
「ふ〜ん」
「でもどこでやるんだい?ここには置けないんだろ?」
そう言われた時、引きつったような笑顔になって言葉に詰まっていた。それでも、負けじと搾り出していた。
「はぁ、もう良いだろ?迎えは来てるから。」
この人達が否定的な事を言う度に、どんどん不機嫌になっているのが分かった。胃が痛くなるような重たい空気だった。
「‥‥すみません。」
「なんだ?」
「彼女はまだ体が回復していません。あと数日待って下さい。」
そんな空気の中発言ができるひとは、肝が相当座っているのだろうな。
「‥‥」
「じゃあ、2日後。それ以上は待たないからな。」
「はい。」
そのあとは、またぶっきらぼうにドアを開けて出て行った。
いまいち今、何が起こっているのか実感が湧かないし、私はあの人の所について行くと言うことになったのだろうか。
全くもって分からない。
「‥すまへん、守れんくて。」
「ぁ、いや、大丈夫です。」
「はぁぁぁ、どうしましょうか。」
「あの方は、決めたことは滅多なことがない限り曲げません。」
「諦めるしか無いのではないでしょうか。」
もはや、お通夜のような雰囲気なのだが本当に大丈夫なのかな。
「あの、あめりか という人はそんなにやばいのですか?」
「いや、どうなるのか分からへん。」
「ぇ?」
「やけど、信用出来ひん奴やで。」
「そう‥、ですか。」
とりあえず今わかっていることだけ見ると、本当に不安になってくる。ずっと怖さだけが積もって行く。
「今は、体を治すこと。そして、記憶を戻せる物を探しましょうか。」
「体は分かりますが、どうして物なのですか?」
「彼女は、調べてみると身寄りが居ないようなので、前に使っていた、見たことがある物を見れば何が変わるのではないでしょうか。」
「確かに‥。」
「では、貴方は此処で安静にしていて下さい。」
「ぁ、わ、分かりました。」
この後は、私は此処でじっとしているだけだったけど、優しそうな二人は私の物を探してくれている。
泥んこになったり、顔に傷を作って帰ってきたりもした。
どうして私の為にそこまでやってくれるのか分からない。
きっと、記憶がなくなる前の私は良い人だったんだろうな。
「はやく、治さなきゃ。」
目を閉じて、記憶を辿るけれど目覚める前の事は何も分からず仕舞いだ。
それを繰り返していたら、あっという間に2日が過ぎた。
「迎えにきたぞ。」
「あの、でも、二人がまだ帰ってきてなくて‥。」
「好都合じゃないか。邪魔が入らない。」
「ぅ、‥」
頭で考えた言葉は、出てこない。黙りこくって あめりか の後ろをついて建物から出た。
入り口に車が停めてあった。何故かまどが黒い布で覆われていて中に入ると外が何も見えなかった。
「じゃあ、行くぞ。」
そう言って車が動き始めたとき、後ろから叫び声が聞こえた。
「ちょっと待って下さい。」
その声は、あの二人の声だった。
「と、停めて下さい。すぐに終わらせますから。」
緊張で、口から心臓が出てしまいそうだった。この人は渋々承諾してくれた。
「あの、どうされたんですか?」
「駆けずり回って見つけたんや。一つだけやけど。」
そう言って手渡されたのは、深緑のお花のブローチだった。
正直言って、何か思い出せた訳ではない。でも、どこか懐かしい物だった。
「どうか‥、どうかお元気で。」
「はい、あなた方も。」
あの人に、ついて行ってどうなるのか分からない。分からないけど、此処のあたたかさはきっともう味わえないと思うと、目頭があつくなった。
でも、泣きはしなかった。
また、車に乗って行き先の分からない目的地に走り出した。