コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ママが元同僚の〈いっちゃんさん〉を家に連れてくるようになったのは去年の春。
たーちゃん今日は寄り道せずに帰ってくるのよ、とママが急に言ったのだ。
私、寄り道なんてしたことないのに…と胸がざわざわしたのを覚えている
おそるおそる帰ってきて、いつものようにリビングのドアを開けた瞬間、ソファに知らない女の人がいるのに気づいた。
その人は、ひどく気まずそうに私を見た。
この人はきっと、ママにとって特別な人なんだろうとひと目見ただけで分かった。
ママからは、女の人が好きだとか、女の人の恋人がいるだとか、一度も聞いたことが無いのに、それでも分かった、まるで最初から知っていたように。
だから、私がショックを受けているのは、〈いっちゃんさん〉が女の人だった事ではなかった。それだけは本当に違う。本当に。
私とママの空間に、私の知らないママを知っている人がいるだけ。
ただそれだけだ。
うちのリビングはなんだかおしゃれなカフェみたいだ。
肩にかけた通学バックを床に置いてから、ダイニングのほうに目をやった。
ダックワーズ。
あぁ、私が好きだとゆうことになっているお菓子か、と思う。
いい加減辞めてもいいんじゃないかな…。
あ、そうか、と不意に思う。
「私、無理してたんだ」
今日を最後に、私は本当の私に戻ろう。
そう決めたら、すごく気持ちが良かった。