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涼ちゃんが死んだ。
死因は…なんだっけ。
もう考えたくもないや
……現実を受け入れるのは凄く難しい。
お願いだ。神様、どうか、…
どんな代償があっても構わない。
もう一度、もう一度きりだから…。
涼ちゃん、藤澤涼架に会わせて下さい。
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小鳥の囀りで瞳中に光が入る。
あぁ、今日は火葬だっけ。
その前に、少しだけ。気分を晴らす為に、
外に出るが今日は一段と暑い。
涼ちゃんも、成仏出来ないんじゃないかな。
ああ、やだ、考えたくもない。
最愛の人が亡くなったなんて、僕にはとてもではないが耐えられそうにもない。
本屋に立ち寄ってみる。
フラフラとした足取りで本屋に入って眼中に入った人物は、そう、紛れもない「藤澤涼架」だったのである。
そう、まるで生きているかのようにこちらを見てはにかみ笑顔をする。
「あー、もーっときー!」
ニコニコでこちらに近寄ってくると思ったら、足を絡ませ、転倒する。
生きているかのように。
俺はまだ夢を見てるのか?
そうだ、そうに決まってる。
だって涼ちゃんは、藤澤涼架は、死んでいるハズなのに。
そうやって俺が項垂れていると、脳内に救急車や消防車やパトカーのサイレンが響鳴る。
2、4、6、……8台か、近くで火事でも起こったのか?
「ん…近くで火事、かなぁ、?」
心配性で、優しい彼は、酷く心配するような表情を浮かべる。
「……ちょっと見に行かない?心配だし、」
これは夢だから、俺が死ぬ事は無い。
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「っ、……あっつい、」
思ったよりも火の広がりが早いらしく、住宅街が赤と橙色に染まっていた。
「ウソだろ…?
子供が数人取り残されてる。だと…?」
消防員のおじさんが大袈裟な程に、叫ぶ。
その声を耳に捉えた涼ちゃんは、目を丸くして、冷や汗を垂らした。
「もとき、…俺、行く、…。」
え、ちょ、ちょっと待って、。
だめ、だめ、死んじゃダメ。
「え、涼ちゃん、何言ってんの…?」
だめ、夢の中でも涼ちゃんの死を目の当たりにしたくない、やだ、怖い、痛い。
──なんで、俺は涼ちゃんが死ぬって思ってんだろ──
目の前が真っ暗になった。
消防のおじさんや、他の人が叫ぶ。
お兄ちゃん、待って、行くな!
と、もがいているのが聞こえる。
あゝまた、君を守れない。
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戻ってきた筈もなく、君はまた死んだ。