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谷原が見せてきたのは、【養子縁組届】だった。
「なにこれ……」
言葉を失った漣に、谷原は笑いながら語った。
「喜べ、漣君。若林さんが、君を正式に養子に迎えたいそうだ!」
「…………」
漣は目を見開いた。
「何言ってんの?狂ってんのかあんたらは!そんなことするわけないだろ!」
叫ぶように言うと、
「もちろんタダではない」
谷原は首を傾けた。
「君の養育費は、君のお母さんから一銭も貰わない上に、楓君が大学を卒業するまで、月20万円、お母さんに支払うそうだ」
「……んだよ、それ!!」
漣は眉間に皺を寄せた。
「馬鹿も休み休み言えよ!それこそ、母さんが認めるわけないだろ!!」
「……ほう」
谷原は目を細めた。
「そうかな?」
漣はもう一度谷原が翳している用紙を睨んだ。
「!!」
【届出人】 □父 ■母
東京都板橋区桜川533番地91
筆頭者の名前 瑞野陽子
届出人の名前 瑞野陽子
令和5年8月18日
「君のお母さんは、もう了承済みだよ?」
谷原が奥歯を見せながら笑う。
「いいことを教えてあげようか?漣君」
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