——ザァァァ……
砂塵が舞う荒野に、二つの影が静かに横たわっていた。
霧島は、その光景をじっと見つめていた。いや、見つめるしかなかった。
「……死んだんか……?」
声はかすれていた。いつもの飄々とした態度は、今はどこにもない。胸の奥に広がるのは、得体の知れない寒気。
歩奈と美々華。
あの二人が——”相打ち”になるなんて、誰が想像しただろうか。
霧島は知らなかった。歩奈がここまでの強さを持っていることも。美々華が死の間際まで異能を操る執念を持っていることも。
そして——その二人が、死んでもなお、世界に影響を与え続けることも。
「……おかしい……。」
霧島は、震える手で額を押さえた。
「なんか……何かがおかしい……。」
——ズズズ……
大地が、僅かに揺れた。
「……!?」
霧島は反射的に後ろへ飛ぶ。直後、歩奈と美々華が倒れていた場所から、黒い花が咲き誇った。
それは、まるでこの世のものとは思えない、異形の花だった。
「これは……”異能の大伝染”……か……?」
恐怖が、全身を駆け巡る。
歩奈と美々華。二人の異能がぶつかり合い、その”バグ”が、この世界に何かを生み出したのだ。
「……冗談やろ……。」
霧島は、咄嗟に身を翻し、その場を離れようとする。
——だが、遅かった。
「……霧島さん……。」
背後から、声が聞こえた。
霧島は、振り返る。
そこに立っていたのは、歩奈と美々華の融合体だった。
「ずっと……見てましたよ……。」
その声は、二人の声が重なり合ったもの。瞳は赤と青、異なる色を宿している。
霧島は、動けなかった。
「……あかん……。」
全身が、震えていた。
これは——”恐怖”だった。
コメント
2件
今回も神ってましたぁあぁ!!!!! え、ちょっと待って何かヤバいの出てきたぞ(褒め言葉 この2人が合体したのって敵なのかな、、??それとも違う? え、めっさ気になる((? 次回もめっっっっさ楽しみンゴ!!!!!!!!