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——ドクン。
空気が、裂けた。
霧島は理解しようとしたが、脳が追いつかない。
異能演舞の”バグ”から生まれたエネルギー——あのライア戦での歪み。
それが、”融合体”に注ぎ込まれていくのを、彼はただ見ていることしかできなかった。
「……いや、ちょっと待て……。」
自分でも声が震えているのがわかる。いつものふざけた調子は完全に消えていた。
「やばいやつだろ、これ……。」
——ドクン。ドクン。ドクン。
融合体の体に、黒い文様が浮かび上がる。まるで燃え盛る炎のように、彼女たちの身体を蝕んでいく。
「……力が……溢れる……。」
その声は、美々華のものでも歩奈のものでもない。もっと深く、もっと異質な何か。
そして次の瞬間——
——ズガァァァン!!!
大地が裂けた。轟音とともに、柱が空へと突き抜ける。雲を割き、空を焦がすエネルギーは、異能などというレベルではない。
霧島は必死に距離を取る。だが、目を離せなかった。
目の前にいるのは、”美々華”でも”歩奈”でもない。
それは——魔神だった。
「……霧島さん……見てください……。これが……私たちの”進化”ですよ……。」
その姿は人の形をしているものの、”人”ではなかった。翼が背中から生え、尻尾は巨大な槍のように変質している。
目は虚無の闇と燃え盛る炎を宿し、足元に立つだけで大地が震えた。
「……冗談だろ……。」
霧島はつぶやく。だが、これは現実だ。
魔神は、一歩、霧島へと歩を進める。その一歩だけで、地面は抉れ、空気は裂ける。
「……霧島さん……。”恐怖”、してますか?」
その問いに、霧島は答えられなかった。
なぜなら、全身が——完全に震えきっていたからだ。
「さあ、楽しみましょう……。”この世界を壊す遊び”を……!」
——世界は、絶望に包まれた。