弟みたいに可愛がってる子がいる。
向かいの家に住んでいて、年は二つ違い。
素直で単純な子だから小さな頃からいつもからかって遊んでいた。
「ねね依都!」
「ん?なーに?」
「私の事どう思ってるか言ってみて!」
この日も依都の事を引っ掛けるために質問をした。
「結璃姉の事?うーん…好き!」
「じゃあ私も依都の事どう思ってるか言うね!反対の言葉で」
「分かった!」
「えっとね〜…嫌い」
依都はよく最後の言葉を聞き逃している事を利用したイタズラをした。
「え…?結璃姉僕のこと嫌いなの…?」
「何言ってんの!最後に言ったじゃん!『反対の言葉で』って!」
「そんなのズルいよー!」
「最後まで聞いてない依都が悪いもーん!」
この日も見事に引っ掛かってくれて面白かった。
時は過ぎ、私は高校三年生で依都は高校二年生。
「勉強面倒くさぁい…」
「でも私達大学受験するんだなら頑張らなきゃ!」
「りおは頭良いから別にいいじゃん!」
親友のりおは学年トップの成績で努力家。
勉強嫌いの私とは反対側の人間だ。
「そういう結璃もそこそこ頭いいじゃん!」
「そこそこって…褒められてるのか分かんないしなんかムカつく!」
「おはよ、結璃」
「依都おはよう!」
爽やかに登場してきた依都。
いつもサラッと隣にいるからたまに幽霊かと思って驚いちゃうんだよね。
「おはようございますりお先輩」
「おはよう依都くん!」
「んじゃ私はここでさよなら〜」
「え!?」
ここだけの話、りおと依都は付き合ってるとか…!噂だけど。
表では普通と先輩と後輩、二人とも中々策士ですなぁ。
「おはようございます!!結璃先輩!!」
この朝から犬並みに元気なのは汰樹くん。
バスケ部のエースで、クラスのムードメーカーらしい。
「おはよう、汰樹くん!今日も朝から元気だねぇ」
「はいっす!あ、そうだ先輩!さっき依都が呼んでました!」
「依都からの呼び出し…挑戦状か」
「なんか分かんないすけど頑張ってください!それでは!!」
嵐のような子だなぁ…いや小型犬か?
一旦荷物しまって依都の所行ってみるか!
「依都、今日は何で勝負だ!」
「今日は勝負しない」
「え!?」
「だってバスケもバレーも俺の方が圧倒的に背が高くて有利だし、クイズ系もお互い245勝245敗だし」
私が依都をからかってるうちに何故か勝負や引っ掛けクイズをして競っていた。
「た、確かに…てか今依都何cmだよ!!」
「俺?187cm」
「くっそ25cmもでかい…」
私の方が10cmくらい高かったのに…小学生は
「成長期の男子舐めんなって話し」
「わーけーろー!」
「やなこった!」
「てかなんで勝負しないのに呼んだの?」
「うーん…一つ質問したかったから、かな 」
「質問?」
こいつがしてくる質問…嫌な予感しかしない…
「俺の事どう思ってる?」
「え?それだけ?依都の事かぁ…弟みたいだなって思ってる」
「弟、か」
依都はホっとした様な、少し悲しい様な、そんな複雑な表情をした。
「そういう依都は?私の事どう思ってんの?」
小さい頃みたいに素直に好き!なんて言わないだろうし、姉とかそんな感じだろうな。
「結璃の事……嫌い」
「え、は!?ちょ…」
「の反対かな」
嫌いの反対…好き?
「せ、先輩をからかうな馬鹿か!」
「小さい頃同じ事されたからな、その仕返し」
「うっ…」
確かに同じ事をしたような…
そんな事言われたらもう何にも言えないじゃん!
…私だって
コメント
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先輩と後輩大好物です((((( やり返しとかも大好物です(??? 投稿ありがとうございますっ!