注意!
・日帝たち(陸・海・空)がひたすら喧嘩してます。
・R-18ありません。
・英検で疲れ切った人が脳死で書ききりました。文章力が終わってればラストも無茶苦茶です。
では本編Go!
「なぁ…俺らって、結局誰が一番年上なんだ?」
その戦いは、陸のなんでもない一言からだった。
確かに…と、僕…空と海も顔を見合わせた。
「3つ子…って言っても、僕ら初めて会った時期バラバラだし…結局誰が一番年上なんだろ?」
僕がそう言うと、陸と海は難しい顔を浮かべた。
大日本帝国は、元々一人だけが生まれる予定だった。
けれど、一人しか生まれない筈の大日本帝国は、陸軍・海軍…そして、僕…航空隊(飛行戦隊とも)の3人になんでか分裂しちゃったんだよね。
だから、3人とも詳しい生まれは知らない。
知ってるのは、今は亡き父上だけ。
「俺がこの3兄弟の中で始めて会ったのが…そうだ思い出した、海となんだよ。空とはその後出会ってる」
「え、そうなのか?俺は確か…初めて会ったのは空となんだよな」
「そうそう、僕が初めて会ったのが海なんだよ。…ってなると、陸が一番年下?」
僕が首を傾げると、陸が難しそうな顔をした。
「…そういや、父上の最後って全員看取ったか?」
江戸父さん。
その人が亡くなったのは、僕たち3兄弟が出会う前だった。
「父上…嗚呼、江戸父さんか……え、どうだったっけ…覚えてないから多分看取ってないんだろうなぁ。海は最期、看取った?」
「いや、俺は看取ってない。陸は?」
「俺は最期をしっかり看取ったぞ。…たしか、その時は俺と父上以外誰も居なかったはずだ」
「…ここに来て陸が一番年上説?」
溜息を吐いている間に、陸が端正な文字で紙に今まで出た情報を全て書き連ねていた。
うっとりしてしまうほどに整った文字だから、うっかり見惚れてしまいそうだった。
「…で、結局誰が一番年上なんだ?」
「んー…俺と空が一番年上で陸が末っ子説か、陸が長男で俺と空が双子で陸の弟説か…だめだややこしくなってきた」
「まぁとりあえず初めて出会った順で考えれば僕と海はほとんどおんなじ時期に生まれてるって予測出来るよねぇ。あとは、陸が長男なのか末っ子なのかってだけなんだけど…」
陸が匙を投げるように万年筆を置いた。
海も普段は見せない猫耳を出して頭を抱えていた。
僕も知恵熱が出そうな程にいろんな考えを出してみたけど、どれもこれもあてにならない考えばっかり。
結局、僕たちは一体誰が一番年上なのか…
その論争が段々と勢いを落として行っていた、その時。
「どうしたのです、三人とも。
そんな全員難しい顔をして考え込んで」
日本が急須と湯呑を4つお盆に載せて居間へとやってきた。
「あ、日本…!」
海が目を輝かせて勢いよく日本を見た。
「ふふ、皆さんの為に良い茶葉を使ってお茶を淹れてきたんですよ。
考え事の休憩として、一杯如何です?」
そう言って日本が差し出したのは、一つのお茶っ葉入れ。
そこに筆文字で書かれている文字は、『狭山茶』の名前。
日本三大茶とも呼ばれる、昔から愛されてきた高級茶!
このお茶の名前には鉄仮面の陸も流石に心躍ったのか、心なしか目を輝かせてこくりと頷いた。
「嗚呼、ありがたく頂こう」
「やったー!飲む―!」
「ふふ、じゃあすぐに淹れますね」
日本が手慣れた手つきで急須から湯呑に、全部同じ濃さになるように均等に淹れる。
ただでさえ美味しいお茶の葉をさらに引き立たせる淹れ方を出来るのは、日本家でも今は日本だけだ。
「はい、どうぞ」
「ありがとう、日本!」
淹れたての温かいお茶を一口飲んだところで、綺麗な正座をした日本が小首を傾げた。
「ところで…皆さん、そんなくったりするほど考え事をなさっていた様子で…一体何で悩んでいたんですか?」
「…嗚呼、実は……」
海が事情をすらすらと説明していく。
日本は口をはさむことなく、相槌をうまく打ちながらうんうんと頷いて話を聞いていた。
そして、海が話し終わったとき。
日本はにっこりと微笑んだ。
そして、何を言うかと思えば……
「なぁんだ、そんなことだったんですね」
…と、一言。
僕たちは多分その時、全く同じ顔であんぐりと日本を見ていた気がする。
そして、僕たちの声がピッタリ揃った。
「「「…そんなことぉ…?」」」
「えぇ、そんなことです」
いぶかし気に僕は日本を見た。
けれど、日本は美しい笑みを崩さない。
「だって、そんなこと考えても━━━…」
「あなたたち3人とも、同時に生まれてますもの」
「…え?」
僕たちは目をぱちくりとさせた。
「江戸さんが生前教えてくれたんですよ。
『これから陸と空と海っつーやつらが来るが、全員同時に生まれてるから兄も弟も何もない。呼びたがったら勝手に呼ばせとけ』…だそうですよ」
「……んな、勝手な…」
海が、枯れたような声を絞り出した。
「…父上、そんなこと言ってたのかよ…」
陸が、机の上に手を置いた。
そして、さっきまで考え事に使っていた紙をそのままぐしゃりと握った。
端正な文字が、ぐしゃりとなったことで歪んで見えた。
「…俺たち、結局全員同時だったのか…」
「えぇ、ですから…考えても考えても、絶対に答えは出ませんよ」
「…はは、そうか……」
陸が笑った。
「じゃあ、俺たち共通の悩み事は今日出来て今日解決したわけだな」
僕も海も、陸のその言葉に同時に頷いた。
日本だけが、僕たちの事を微笑んで見ていた。
数年前。
“私”が家の古い蔵を掃除していた際、戸棚から何かが落ちてきました。
拾い上げてみれば、それは随分と古い紙束の様。
端が太い紐でまとめられていて、小冊子の様になっています。
『…これは……』
どこかで見たような覚えがあって、私は必死に記憶を手繰り寄せつつ本のページをめくりました。
『………嗚呼、そうか、これは………』
随分と懐かしい、筆の筆跡。
『江戸さん…あなたの日記でしたか』
今はもう居ない、江戸時代の化身であり…大日本帝国たちの、父親的存在の方。
この本はその方が書き残した、日記でした。
懐かしい筆文字を指でなぞりながら、その文章に視線を落としました。
『〇月▽日
今日は息子である陸と初めて顔を合わせた。
小さくてとてとてと歩いていて、すごくほっこりとした気分にさせられた』
『〇月◇日
先日陸に会ったのと続いて、今日はもう二人の息子である海と空と会った。
初めは海と空と別々に会う予定だったが、どうやら先に二人の方が出会ってしまったらしい。
まだ陸の事は内緒だ。いつかこの3人が大きくなった時に、十分な心構えをさせてから出会わせてやりたい』
…これが、日記の始まりに書かれた2日分の日記。
その先も、とページをめくりました。
『◇月〇日
陸と軍隊の仕組みについて学んだ。
私自身も江戸時代というある意味平和な時代に生きたので、軍隊なんていう物とは一切縁が無かった。
この際初心に帰って、陸と海と空と共に軍隊について学んでいこうと思う』
『▽月◇日
海が初めて海を見たと笑顔で教えてくれた。
どうやら見たのは夕焼けの海だったらしく、『海が燃えてるみたいだった!!』と目を輝かせて言っていた。
私はそれが愛らしく感じられて仕方なく、海の頭をわしわしと目いっぱい撫でてやった』
『□月▽日
今日は私のあげた紙に空が朝焼けの空を描いて持ってきてくれた。
朝うっかり目が覚めて外に出ると、とても美しい朝焼け空が広がっていたのだとか。
その空の絵を私にくれた。息子から初めてのプレゼントだ。思わず抱きしめてやった』
そこまで読んで、私は一つ思ったことがあった。
(…想像を超えた親バカだ…この人…)
私の息子の一人である江戸さんがまさかここまで親バカとは…と少々呆れつつページをめくる。
文字が随分と乱れていた。
『開国したくない』
ただ一言だけ。
日付も何も書かず、ただ一言だけそう書いてあった。
ページをめくる。
『△月◇日
今日、あの3人の年齢順がようやくわかった』
次のページは、そういう書き出しから始まっていた。
『3人の話を照合させていけば、なんとか3人の年齢順が分かった。
まず、一番上が海。その次に陸。最後に、空。
全員の言っていることが確かならば、あの3人はこういう並びになる。
けれど、私はあの3人にはこれを伝えないことにした』
『…陸さんと、海さんと、空さんの年齢順…考えたこともありませんでした』
てっきり私は、あの3人は3つ子なのだと勝手に思っていたので心底驚きました。
古い紙を、さらに指でなぞって目で追って読んでいきます。
『あの3人がどういう並び順だろうと、大日本帝国という一つの国を統括し導く人物には変わらない。
だから、私は黙ったままにしておこうと思う。
長兄や末っ子といった階級を付けてしまえば、跡取りとかって問題も面倒になってくるのでな。
私としては、あの3人に足りない部分を補い合って発展していってほしいと願っている。
だから、私は年齢順に関しては何も言わない。
…いや、3つ子だとしておこうか。その方が協力しやすい関係になるかもしれない』
『ただ、息子たちが生きやすくなるように。
私はただ、息子たちの幸せを祈るばかりだ』
…そこで、日記は止まっていました。
まだまだある白紙のページ。
きっと江戸さんの体調が崩れ始め、そのまま亡くなってしまったからでしょう。
私は日記のページを閉じ、ふぅと溜息を吐きました。
『…そういうこと、でしたか…江戸さん』
私にすら、大日本帝国たちの関係を教えてくれなかった理由。
それは、貴方が…感情移入などとは程遠い位置にいた、貴方が
大日本帝国たちを、愛してしまったから。
だから、わざと隠したのですね。
兄弟の関係を。それぞれの生まれを。
生きる上で必要な、個人を見分けるための特徴は、貴方は隠したのですね。
…全部全部、自分の愛した息子たちが世に飛び立つとき、全員で力を合わせて生きてゆける様に。
(…ならば、私も隠し通しましょう)
日記を、そっと握りしめました。
(それほどまでに貴方が愛し、守り抜いて、送り出そうとした大切な3人息子)
『…あとは、私が育て上げてみせますよ』
『日帝さんたちが生きやすくなるよう、精一杯務めさせていただきます』
蔵の中から、見えない筈の空を見上げた。
(…っていうこともあって、今みなさんに三つ子だとお伝えしたんですけど…)
視線を前に向ける。
「でもさー、母体から出てきた順で決められない訳ー?」
「俺ら母上が居ないから母体も何も無いんだっつの、父上しかいないの忘れるな」
「あはは、元気だねぇ陸も海も…」
「「これが元気に見えるのか…?」」
…といった様子で、まだ争いの火種は収まらない様子で…
(…江戸さん、これで良かったんですかね?)
お茶を一口飲み、私は江戸さんの遺品である笠を見つめた。
(喧嘩ばっかりしてても、こうして3人でなんだかんだ手を取り合って生きていけていたなら…)
貴方の思い描いていた未来は、今ちゃんと叶ってるんでしょうか。
(…まぁ、もう確かめようもありませんが…)
「…陸さん、海さん、空さん」
『ん?』
首を傾げて言い争いを辞めた3人に、私は問いました。
「…貴方たちは…今、生きてて幸せですか?」
数秒の間、3人とも固まっていました。
けれど、すぐに陸さんがクスッと笑いました。
「…なんだ、それこそそんなことか」
陸さんも、海さんも、空さんも。
似ているようで似ていない、個々の性格がよくわかる笑顔を浮かべて、私を見ていました。
「そんなの、当たり前だ。
この状況で幸せじゃないものなど、居ないほどに。
これ以上ないほどに俺たちは幸せだぞ」
私も、笑みが零れました。
どうやら、私の悩み事なんてただの杞憂だったようです。
「…そう、でしたか」
「でしたら、それが“私たち”の本望です」
…江戸さん。
どうやら貴方の望んだ幸せな日々は、きちんと実現されているようですよ。
Fin.
好きなように書き綴りました。
英検つかれたぁ…
最近友達におすすめされた「たばこ」という曲を聞きまくってます。
失恋してないのに失恋ソングです。でも良いのです、すごい良い曲だったので。
コメント
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軽く言って神 神作ありがとうございます。 これがうちの生きる糧
英検お疲れ様です。 感動シーンに持ち込む天才だろ江戸さん…… 江戸さん…死んだことにしないで!作品に持ち込んでよ! 江戸さんの物語作ってよ(((すんません もうやだ好き結婚して好き好き大好きありがとうございます。
好きです結婚してください(?