『ドサッ』
「…..ぅえ???」
突然回転した視界。
部屋に響いた自分の情けない声。
誰かが俺に馬乗りになっている。
「ボビー」
状況を理解するのに、時間がかかる。
目の前に見えるのは、天井。
そして画面を埋めつくした、彫刻のように綺麗な愛しい人の顔面。
「おまっ…え?」
気がついたらニキに押し倒されていた。
「ねぇ、ボビー」
「まって、おまえ、急にどうし……んぅっ…!?」
突然暗転する視界。
ついさっき知った、唇の感覚。
(こいつ…!なんでいきなりキス…!?)
「っ、ん…んっァ……んむっ」
「ん、っ…..ふっ…..」
触れるだけなんて可愛いもんじゃなくて、どんどん深くなっていく口付け。
予想外の出来事に上手く息継ぎが出来ず脳に酸素が回らない。
その反面、体はしっかりと快楽を拾っていて。
(やば…くらくらする…)
「ん、っ…ゃぁっ、んンっ、」
俺の頬に添えられていた右手が、頬から離れ下へとさがり、シャツのボタンを外し始める…
(……始めるやない!!!まずい、このままやと俺が下になる!?)
「んンっ、、ァ、にきッ、とま、れっ!!!」
抜けた力を何とか振り絞り、胸を押し返して抵抗し、上にニキを乗せたまま起き上がる。
「ぷはっ……ちょっと!何すんのボビー!」
「なにすんのちゃうわ! それはこっちのセリフや!!なに急にキスしとんねん!!!」
「ボビーだって!!!さっきしてきたじゃん!!」
「いやそうやけど…って!?おまっ、どっからおきて!?」
「逆にさぁ!寝込みにキスされて起きないやつがどこにいんだよ!!」
「ぐっ….」
くそ、詰めが甘かった。とか、鼻つままれても起きなかった癖に、とか喉元まで来ていた言葉をあと少しのところで飲み込んだ。
「はぁ、、、」
「ふぅ、、」
キスからの言い合いで、上がった息を整えようとお互いの肩が上下する。
2人分の荒い呼吸音だけが響く室内。
流れる沈黙に耐えられず、先に口を開いたのは俺の方だった。
「….お前、玄関の鍵開けっぱで寝るのやめた方がええで」
「絶対今話すことじゃないよそれ。」
「知ってた。……なあ、なんでいきなりキスしてきたん」
「…別になんだったってよくね?」
「…思ってること、あるんやったら言って。」
「…」
再びの沈黙。
への字に結ばれていた口が開いたのはそれからしばらくしてからの事だった。
コメント
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せんせーとは逆でにきくんは流れで襲っちゃいそうですき笑