コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
なぜかそこに立っていた。
帰り道を歩いていただけなのに、気がついたらそこに立っていた。
前に見えるのは踏切。
右、左、後ろはどす黒いもやに包まれている。
ガンガンする頭を必死に働かせて、ここはどこなのか、そしてここから帰る方法はないのかと考える。
電車が来る気配はなく、向かい側もどす黒いもやに包まれている。
どうすればいいのか。
答えは一つ。
線路を歩くことにした。
一駅ほど歩いている気がするが、一向に駅が見えない。
踏切もない。
周りに建物もなく、前以外少し灰色のもやに包まれている。
結構歩いた気がする。
さっきから地響きがする。
後ろを振り向く。
気づいた時にはもう遅い。
どす黒いもやを超えてやってくる電車に、何も考える間もなく、言葉を発する暇もなく
押しつぶされた。
寝てしまっていたようだ。
流していた曲はもう終わっていて、イヤホンを耳につけたまま
時間が経っていたので耳が痛い。
塾がもう少しで始まるので家を出なければ。
歩く。
駅まで歩く。
踏切だ。
なぜか周りがどす黒い。
押しつぶされた。
そんなことを何回も繰り返した。
何回も。
何回も。
時間は止まったまま。
「夢で見た話。」