船内が狂乱の渦に包まれる中――
「邪魔するぜぇ。」
重々しいブーツの音が響いた。
その男は、堂々とした足取りで現れた。
仕立てのいいスーツを身にまとい、肩には高級な毛皮をかけている。
胸元には馬の蹄鉄を模した金のブローチ。
「……誰だ?」
主が警戒しながら男を見つめる。
男は不敵に笑った。
「競馬王、ウィリアム・カーネギー。アメリカの誇りってやつさ。」
その名を聞いた瞬間、詩音がピクリと反応した。
「へぇ……”アメリカの競馬王”が、こんなところに?」
ウィリアムはゆっくりとグローブを外し、ポケットから一枚の紙幣を取り出した。
「ここの支配権がかかったゲームだろ?」
「この船が手に入るってことは――」
「世界の覇権を握るチャンスってことだ。」
彼は紙幣を指で弾いた。
「それを、ただの殺し合いのために使うのは、もったいねぇ。」
「だから、俺が勝つ。」
「アメリカのためにな。」
主は息を呑んだ。
詩音がクスクスと笑う。
「なるほどねぇ。”競馬王”が賭けに出るってわけか。」
ウィリアムはニヤリと笑った。
「さて、お前ら。俺の”レース”に付き合う気はあるか?」
彼の背後で、黒い馬の幻影が揺らめいた。
コメント
2件
主が警戒してる…!!可愛い!!!!♡((((アメリカの人何か強そう…!!続き楽しみです!!!✨
今回も神ってましたぁぁぁ!!! 競馬?何それ美味しいの?( ᐕ)( ᐛ) 誌音たんはノリノリ(?)だねぇ、、、ええやんええやん!((?? 最高ですわ^^ 次回もめっっっっさ楽しみいいいいいぃ!!!!!