―Episode 4―
気がつけば講堂の前に到着していた。
くれな)[来てしまった…はぁ…逃げたい((]
講堂の扉が開かれると、中は静寂に包まれていた。高い天井と広い床、そして中央にある試験用の円形ステージ。
くれな)[うわ、マジで戦闘訓練のアリーナみたいじゃん……こわ]
壇上では、すでに最初の生徒が呼ばれ、能力を披露していた。
「異能:火の具現化です!」
その瞬間、彼の手から燃え上がる炎。
くれな)「………いやいやいや。こちとらただの振動を操るだけだし実演するのは飛ぶだけだぞ((」
次々に名前が呼ばれ、それぞれが能力を披露していく。
『影を操る能力です』『視界を反転できます』『声を幻覚として飛ばせます』
見た目に派手な能力、戦闘向きの能力、知覚干渉系、まさに“異能”のオンパレード。
そして──
佐藤先生)「次、くれなさん」
一瞬、時が止まった気がした。
くれな)うぇっ……あ、はいぃっ
ギクシャクと壇上に上がり、中央で足を止める。
全員の視線が、静かにくれなに注がれていた。
佐藤先生)「では、簡単に能力の説明を」
くれな)え、あ、えっと……その……私の異能は……振動を操る能力…です…
佐藤先生)「振動を操る……なるほど。では、実演可能ですか?」
くれな)実演って…私… 弾幕なんですけど…
佐藤先生)「弾幕、ですか?」
くれな)今までいませんでしたか…?
佐藤先生)一年生で弾幕を扱う異能は珍しいですね。
講堂が、ひときわ静かになる。陽キャたちのひそひそ声も聞こえないほどの沈黙。
佐藤先生)「安全確認のため、威力を抑えて構いません。では、実演をお願いします」
くれな)……了解です……
くれなは深く息を吸い、そして小さく吐き出す。
くれな)いきます…
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