ある日、舞香はいつもと同じ、境内を掃除していた。
すると、聞き慣れた声が聞こえた。
「舞香ー!やっほー!」
「風華!」
そこには舞香の親友、風華がいた。
風華は舞香と同じ場所に生まれ、同じ時に死に、妖神になった。
いつもはある動画アプリ(サイト)で、自分が作った曲を載せている。かなり再生回数が多いらしい。
「風華、いつぶり…⁉︎」
「ざっと100年ぐらい?その間ずーっと霊界や天国地獄極楽浄土飛び回ってた!」
「天国、私の弟とか妹、いた?」
「いたよ!元気そうだった!」
「そっか…」
すると背後から足音が聞こえた。
そこにいたのは颯太と優香だった。
颯太が聞いてきた。
「あれ?舞香さん。その方は?」
「ああ、この子は風華。私と同じくらいの時に妖神になった子です」
「よろしく!」
「あ、ど、どうも…」
見慣れない人に、優香は動揺しているようだった。
「あ、そうそう。今、私の住んでる場所、結構都会でさ。そこに、小鳥遊(たかなし)さんっていう、農業をしているお爺さんがいるんだけど、その人、とある呪われた壺を持っていて、それ、昔、骨董屋で買ったものなんだって」
「それがどうかしたの?」
風華の話に舞香が問う。
「その骨董品、呪われてて。家に飾ると、絶対って言っていいくらい、不幸が起きるの」
「どんな不幸が起きるの?」
「んー…前に聞いた話だと、豪雨が起きたり、その年の作物が不作だったりとかだったっけ」
「それは酷いね…」
「返品をしようとその骨董屋に行っても返品してくれないし。なんなら無くなってたらしいの」
「え⁉︎」
静かに事を聞いていた優香と颯太は大きな声を上げた。
「それ、なんて言うお店?」
舞香は落ち着いてそう聞いた。
「確か…「コーデリア」って名前だったと…。その事を最寄りの交番の警察官に聞いても「そんな名前の店はない」って…」
「…要は、どこかよくわからない異世界に入ったってこと?」
「そういうこと。捨てようとしても何故か何度も戻ってくるし、燃やそうとしても燃えない。壊そうとしても壊れないんだって。見た目はただの粘土、でも粘土より遥かに硬かったんだって」
「…そうなのね」
舞香は、はあっと息を吐き出した。
「私、今すぐそこに行っていい?」
舞香がそう聞くと風華は
「いいよ!てか来て!」
と、即答した。
そして風華は颯太と優香に向いた。
「君たちも来てくれない?そこの兎の女の子は魅了する能力、そこの蛇の男の子は毒耐性と毒を作ることができるみたいだし」
それを聞いた優香と颯太はとても驚いていた。
「な、何で私が兎の妖神ってわかるんですか⁉︎私、今は耳を閉まっているのに…」
優香は凄く動揺していた。
「何で俺と優香の能力を見分けられるんですか⁉︎」
颯太も優香と同様、凄く動揺していた。
「ああ、実は風華はー…」
そう舞香が言いかけた途端
「ちょっと!言わないでよ!」
風華が遮った。
「ごめん、ごめん」と舞香が風華の横で謝った。
「私の能力は「見ただけで相手の能力がわかる」っていう能力」
風華はそう言った。
「す、凄いですね!」
優香と颯太はとても驚いていた。
「ありがとう。でも君たちも十分凄いよ。私、絶対にあなたみたいに何かを魅了できないし、君みたいに毒耐性も毒も作れないよ」
微笑みながら風華はそう言った。
「ありがとうございます!」
優香と颯太は、とても嬉しそうだった。
「それじゃ、行こうか」
風華は快活な笑顔でそう言った
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