「涼ちゃん!!」
いつも嬉しそうに僕の名前を呼んでいた若井はもう居ない
「涼ちゃん待ってぇ」
「ねねっ涼ちゃん!ここ一緒に行こ!」
「涼ちゃん、元貴がぁ…泣」
僕の思い出の中では楽しそうに笑っているのに。嬉しそうに僕の名前を呼んでくれているのに
もう、この世界に君は居ない
心にぽっかり穴が空いてしまったような感覚だった
ご飯の味もしなくなって、痛みも感じなくなって…
正直に言ったらもう死んでしまいたかった
君がいない世界は僕には残酷すぎた
「今から行くからね若井…」
そう言って僕は屋上に上がった
…いい眺めだった。僕だけが世界から切り離されたみたいな?そんな感じ
今頃みんな必死に働いているんだろうな
人のために。愛する人のために
でも僕にはもう理由はなくなってしまったから。仕事を頑張る理由も、生きる理由も
両方同時に奪われちゃった…笑
君は今どうして過ごしていますか?
元気にしていますか?1人で寂しくないですか?
この答えは直接聞くことにします
僕が君のいるところに行ける保証はないのですが…笑
「今行くからね」
そう言って僕は残酷な世界から逃げ出した
「涼ちゃん…?」
懐かしい声で。僕の大好きな声で呼ばれた気がした
「若井?…どこ?」
僕は周りを必死に探した。愛する人を見つけるために
「涼ちゃ…」
若井は悲しそうな顔で僕を見ていた
なんでそんな顔するの?
「なんで来ちゃったの?」
え?
「涼ちゃんには長生きして欲しかった…
僕の分まで生きてて欲しかった…」
「そっか…ごめんね」
僕は若井に求められていなかったみたいだ
僕だけだったみたい。若井のことが馬鹿みたいに好きだったのは
「もう関わらないように気をつけるからね…」
そう言って僕は若井の前から立ち去ろうとした。もうその場にいたくなかった
「来世でも、僕の恋人になってくれますか?」
そう若井は僕に向かって言った
「今世では迷惑かけてばっかで後追いまでさせちゃったけど…来世では必ず守るから。1人にしないから。また僕と恋人になってくれませんか?」
断る理由なんてない。僕が望んでいた事なのだから
「僕でよければッ…泣」
僕たちは第2の人生をスタートさせた
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