砂嵐が吹き荒れる中、霧島は萌を片手でぶら下げたまま、もう片方の手をゆっくりと掲げた。
「見せてやろう……これが”異能”の極致だ。」
次の瞬間、空間が歪んだ。
ゴゴゴゴゴ……ッ!!
地面が揺れ、空がねじれる。目に見えない力が世界そのものを捻じ曲げ、まるで現実そのものがひび割れていくようだった。
「な、なんだこれ……?」 吉田は額に汗を浮かべながら後ずさる。
霧島の足元から波紋が広がり、巨大な魔法陣を描き始めた。文字と象形が浮かび上がり、そこから立ち上るのは禍々しい黒炎。
「これは……”異能演舞”。”五十六刻”の刻印、解放。」
霧島の声が響いた瞬間、空から無数の”剣”が降り注いだ。
「避けろっ!!」 吉田は叫び、萌も必死にもがくが、霧島の手は決して緩まない。
ズバァァァンッ!!
剣の雨が大地を貫き、爆発と共に砂塵が舞い上がる。吉田は間一髪でかわしたものの、体の何カ所かに深い傷を負っていた。
「これが……異能演舞……」 吉田は荒い息をつきながら、霧島を睨む。
しかし、霧島はまだ始めたばかりだった。
「恐れるのはまだ早いぞ、吉田。」
霧島の足元の魔法陣がさらに広がる。今度は空間そのものが裂け、そこから”蛇”が無数に這い出してきた。
「こいつらは……!!」 萌の目が見開かれる。
そう、これは以前戦った”蛇”。だが、数が違う。数十、いや、数百もの蛇が次々と現れ、吉田を取り囲んでいく。
「くそっ……!!」 吉田は剣を構える。
「さぁ、踊れ。”異能演舞”はまだ終わらないぞ。」 霧島は狂気じみた笑みを浮かべた。
そして、戦場は地獄と化した。
「吉田ァァァッ!!」 萌の叫び声が、絶望の中に響き渡る。
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