皆さん、おはようございます。突然ですがこの夏、異世界転生しました。
「うわーん、うわーん」
「どうしたの、冬真。よしよ〜し」
冬真(とうま)それが、俺の新しい名前。この世界は、文字は違えど漢字があるようだ。そして、雪のように真っ白な髪を持ち青い目をしたとても美しく、女神のような女性が俺の母親だ。名前は、すず。
(目が覚めたら、赤ちゃんライフ。めちゃくちゃタイプの女性が母親なんて素晴らしい。独身だったら告るぞ)
「すず、代わるよ。お、冬真おはよう」
そして、このイケメンで少し焼けている茶髪で紫目の人が父親だ。名前は、彰(あきら)
(イケメンと美女が親なんて、なんて素晴らしいだ。自分の将来に期待しよう)
「冬真、ニコニコね」
「うわーん…うわーん…うわーーーん…」
おっと、忘れかけていたが俺は、双子だ。
「どうしたの、よしよ〜し笑真」
笑真(えま)、俺には妹ができた。
(まさか、俺に妹ができるなんて)
憧れの家族、憧れの兄妹。すごい、夢が叶った。異世界転生最高
それ以前にここが異世界だとわかったのは、
神様からのお告げとかではなく。喋る犬、母親が使う魔法、よくある異世界漫画知識…などなど、元の世界に無いようなことばかりだ。
(もしかして、魔法使ったりできるのかな。むふー)
母親がよく見せてくれる力は、雪だ。シンプルに見えてとても、美しい。辺り一面、雪の結晶が飛び回っている。たまに、オーロラも見せてくれる。そして、双子には大人気。もしかして、チートとかあったりして…楽しみだ。
子どもの体は、すぐ眠くなる。ある日昼寝をしていたら、何故か重くズッシリとしたので目を覚ますと妹が俺の上に乗っかりに指というか手を吸っていた。
(重った…ん?……指指、手手)
見事指(手)はよだれまみれだった。
「冬真、笑真に食べられちゃたね」
そんな光景を両親は、笑っていた。やれやれ、ほんと困った妹だ。
最初は、もしかして妹も転生者なのかと考えていた。だが、どうやら妹は、転生者ではなく普通の赤ん坊のようだ。理由は、俺みたいに落ち着いて大人しくせず、赤ん坊のお困りセットだらけでよく親を困らせている。
例えば俺は、精神年齢が上だから夜泣きなどお困りセットはしない。言わば、見た目はこども中身は大人というどこかで聞いたことがあるフレーズだ。だからこそ、赤ん坊は音に敏感だとよくわかる。夜中急に、
「うわーん、うわーん、ぎゃーあー」
妹は、泣く。よく泣きわめくおかげで夜泣きがうるさく俺は、全然眠れていない。せめて、他の部屋にしてほしい。
昼間は、ほとんど寝ていて起きたらおもちゃで遊んだりしてよく笑う。
「キャッ、キャッ」
「笑真、お人形さんだよ」
母さんが出かけている時はよく、父さんが相手をしている。
「冬真、お人形さんだよ」
(こういう場合、どういう反応をしたらいいんだ)
俺は、これでも成人男性の立派な大人だ。だからこそ、反応がわからん。孤児院でも、赤ん坊は全然居らず小さい子がどのような反応をするのかがわからない。孤児院では、心を簡単に許せるようなやつはいなかった。というか、心を許せる友はあいつだけだったな
「冬真は、絵本がいいかな」
ガサゴソガサゴソ
「じゃーん、勇者の物語」
(勇者だと…もしかしてもしかして、この世界にはそんな主人公的存在がいるのか)
俺は、思わず絵本に飛びついた
「お、冬真は絵本が好きか。よしせっかくだから読み聞かせをしよう。笑真も聞こうか」
お人形に夢中の笑真と俺を膝の上に乗せてこの世界にいた勇者の話をしてくれた。
「これは、とある伝説で勇者が魔王を討ち取った物語。孤児である彼は、女神が残した伝説の剣を抜き選ばれ勇者となった。」
「ーーーーで魔王は、勇者、僧侶、戦士、魔法使いの力によって倒された。これは大昔にあった実際の話だよ。」
(良い話だ)
俺は、シンプルにそう思った。孤児が世界を救う勇者となる成り上がり系は好きだ。まぁ、本当かどうかはわからないけど勇者は、転生者じゃないようだ。
「ただいま」
母さんが帰ってきた。
「おかえり、仕事お疲れ」
父さんは、笑顔で俺たちを抱っこして迎えに行った。
「勇者の読み聞かせをしてるの?それ、実際にあった話でいろいろ裏話があるの」
「そうなのか」
「ほんとよ。みんなが知らない本当の話を繋ぐのが私たち一族の役目の一つだもの。いつかこの子たちにも繋ぐ日が来る」
(役目?)
まだ、俺には知らない事が多くありそうだ。なんか、眠くなってきた。あれ母さんから、うっすら血の匂いがする。気のせいだろう……
「ふたりとも、寝ちゃったね」
「寝たな。久し…り…仕事だ……だろ…どう……」
はっきりと聞こえない…俺達は、ぐっすりと寝てしまった。まさか、この役目が将来に繋がり俺たちを変えていき導く大切で重いものだとは知らなかった。
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