兄はまだ何も知らない、それでも時間は経ってしまう。
兄は口からだくだくと泥を吐く。
その泥がカップに溜まって淵から漏れ出す。
それでも泥は止まらず流れる。
僕はカップを取って兄の背中にかける。
泥が熱いらしく、兄は身をよじる。
僕は兄を背中から抱きつく。
服に染み込んだ泥を、口で吸い出す。
苦い苦いコーヒーの味がする。
兄は気を失ってしまっている。
僕は兄の身をベッドに移すと部屋を立ち去る。
兄の口からはまだ泥が流れて出ている。
僕は部屋から出ている。
兄が僕の名を呼んでいるが、
しかしその名は間違えた読み方だ。
僕は部屋には戻らない。
服についた兄の泥を手でぬぐって降り落とす。
愛してる、と弟が言います。
おそらくそれは嘘であり、
弟が愛すことなんてありえません。
弟は僕のことを見たりもしません。
僕は弟のことは見ます、しかし弟が
僕のことを見ることなんてないのです。
口の端から出たよだれを、
僕の顔に垂らして喜ぶだけです。
弟には目がないのです。
人は目で人を愛するのです。
弟は人ですが、目がないのならば愛せません。
僕は弟の喜ぶ顔を見ます。
その喜んだ顔で弟が言うのです、愛してると。
兄は耽美な奴ですが、誰にでも心を許します。
なんて感心な奴だ、お前になら良いぞ。
と誰にでもやるのです。
僕としてはそれは面白くないのです。
兄の弟は僕しかいないのに、
その兄が誰にでも心を許してしまうなんて
損した気持ちになります。
兄が足を閉じた隙間から頭を差し込みます。
兄が足をより強く閉じるので、
より首に力を入れます。
兄はあっと言って座り込みます。
僕の頭は足の間から抜けてしまいました。
兄の足の間から薄黄色の油が漏れ出しました。
僕はつま先でその油に触れました。
足の裏全面にも油を塗りたくりました。
その足を兄に押し付けました。
兄は横目で僕を見ます。
そっと足を地面に降ろします。
兄は僕に抱きついて言います。
どうしてどこかにいく?
しかし兄がそんなことを言うわけないのです。
兄は僕のことを信じることができないのです。
だから僕は兄と会話したことがありません。
兄は僕の言葉全てが信用ならないのです。
だから兄は僕の耳に口を寄せて言うのです、
どこにもいかないでください。
兄は本気でそんなことを
言っているのではありません。
だから僕は兄と会話するのが嫌なのです。
兄の声は僕の口にかかるのです。
兄は僕以外にも優しいのです。
僕は弟のことが許せないと思いました。
弟が僕の首を絞めるたび、僕の体は
大きく海老反りになって目が飛び出すのです。
まさに海老らしくなるのです。
弟はそれを見て喜ぶのです。
弟はそれを写真に撮って、一枚10円で売るのです。
その写真のふちに弟は、
カニとマッキーで描くのです。
弟はそれが悪趣味で低俗なことを知っています。
だから弟はそれをごく安い値段で売るのです。
それを買う人はみんな喜んで書います。
ある人は30枚買っていきました。
喜んでその写真を懐にいれ、
そしてそのうちの一枚を取り出すのです。
写真の表面に唇を滑らせるのです。
唇は写真のふちまで辿りつきます。
舌がマッキーの文字の上に載ります。
よだれが唇から補給され、
舌が泉の中の柱のように立っている。
よだれは流れて文字を消す。
僕はそれを見ている。
よだれが流れて写真は無記名になる。
その人はもう一枚、その写真を懐から取り出す。
そしてよだれが地に落ちるのを避けるように
写真を唇の下に添える。
僕は写真を覗き込む。
どうやらその人が買った写真は、
全て同じものらしい。
僕はその人に抱きつく。
僕はその人に降り落とされる。
その人は何枚も何枚も、写真の文字を洗い落とす。
文字を落とされた写真が地面に散らばっている。
僕はそれを一枚一枚拾う。
そして束にしてから、弟にそれを返す。
弟は興味なさそうに受け取る。
弟はマッキーを取り出すと、また文字を書く。
中古として出してこい、と弟は言う。
一枚5円で良いと言う。
僕は道端に立って写真を売る。
一枚5円です、どなたか買いませんか?
誰も買わない。
僕は写真を見る。
よく見ると、
上の5枚以外何の文字も書かれていない。
一枚5円です、どなたか書いませんか?
弟がやってくる。
一枚10円で買うと言う。
僕は弟に写真を全部あげる、お金を受け取る。
弟は僕に笑いかける。
僕は惨めな気持ちになる。
きっと弟は、僕をこんな気持ちにさせるために
こんなことをしているのでしょう。
僕は弟のことが許せません。
お金は全部で10円しかありませんでした、
足りません。
兄こそ悪い。
不気味な奴である。
僕は兄を許さない。
僕にはわかる、兄がとんでもない奴であると。
兄を許すことができない。
兄は穴からものを垂らすのだ、許せない。
でも結婚してほしいとも思う。
しかし僕はどうして兄と結婚するのだ。
兄は穴からものを垂らしている。
そんな奴と結婚することなんて、できるものか?
許せぬ、しかしどうしようとないのだ。
兄のものの流失を止めることはできない。
せめて穴から出ているのでなければ
マシだった。
しかしもはや穴から出ている以上、
そんなことは考えちゃいけないのだ。
兄は僕の前で穴を閉じている、しかし
見せてはくるのだ。
ぴったりと閉じた穴が僕の目の前にある。
穴から流れ出るものを思わず僕は期待してしまいました。
許すことはできません。
兄というのはとんでもない奴です。
弟はチャンネルチェジャーでなんでも変えてしまう、素晴らしい人間だ。
悲しいことだと思う。
弟は常に椅子に座って足を組むのだ。
そして差し伸べた手のチャンネルチェンジャーを振り回す。
そして言うのだ。
僕はもう我慢できない。
押されたスイッチは世界と繋がっている。
深く沈みこむスイッチには深い繋がりがある。
弟は浅いスイッチを押した。
僕に吐き気がやってきた。
麺がクチから飛び出した。
弟は大喜びで笑う。
僕は涙目で弟を見る。
弟は素晴らしい人間だ。
兄は目で僕のことを見ている。
可愛らしい兄が僕の体を目でなぞり、
許せなくなっている。
僕は兄に近づき、なでつけた髪をさらに押さえつける。
カールした髪を可愛らしく思って許せなくなる。
女の子同士なのだから良いではないか、
優しいんだねと思った。
ありがたいものだと思った。
僕は兄こそ許されるべきだと思っていた。
兄は悲しい人だった。
彼方へ行った人は誰かばかりと探していた。
あれは僕を同情してくれていたのだと思う。
それでもありがたいと思った。
許されるのではないかとも考えたが、
あれは自分なのかとも勘違いした。
自分の気持ちを許す必要がある。
あれは切ない話だと思う、諦めきれないのである。
悲しいと思った。
兄は時間ばかりをかけているのだが、めぼしいことはしない。目の光った鳥が顔の前を通る。
四つ角の筋を通って鳥はひるがえる。
悲しいことだと思われて、あまりにもそれは
大きいものであったが、あまり無理はしない
方が良いと思った。
あのは二つに一つなのである、
あれはおそらく壊れてしまうのであろう。
無茶はしないほうが良いのだと言われた。
しかし私はそれをきかなかった。
私は不安になったあげく、
何もすることがなかった。
全て安心をすることができた。
後ろから人が現れた。
それは最高のものである、あれはとんでもないことである。
あれはあまりにも怪しい人なんだと思う。
足りない時間にも兄は追いかけていくのだ、
とても優しい人なのだ。
なんというかあまりものを考えてられない。
弟にはそんなことを気にする余裕がない。
しかしそれは安っぽく、思想には辿りつかないものである。
それらが夜に光ると東京はありがたく光るのだ。
それを見た少女は口から赤いよだれを漏らして
母におもちゃを乞う。
幼い少女はもうどこにもいないが、何度もそれを見せてくる。
あの幼い少女はもう大人になっている。
話を聞くと、それはとても恐ろしいものであった。
あれは母こそ許せるものでもなかった。
そこに間を挟んで、走っていくものがある。
ちゃんと気をつける必要があると思う。
しかし忘れられるものでない。
あれは嘘であった。
女声の声優が男の声を出す。
しかしあれはインチキである。
とても恐ろしいものである。
これで最後にしたい。
これは兄である。
とある匿名にしたものが、その特徴で特定でくない場合、その特徴は別に珍しいものとは言えないのです。
しかし官能を感じられれのならば、それはほんとうの話ですが、それが幻でも、許す必要がありますよ。
それでもそれは自分の方に向かっていました。
あなたがこちらを丁寧に見ているのです。
服は肌の上を丁寧になぞります。
私は丁寧にこちらを見ているのです。
ガクガクと膝が震えて、起こすのです。
美女は私を見て、こう言うのです。
あれは偶然であり、私のためのものであった。
あれは漫画を読んで知るべきです。
Twitterを私は見ます。