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みのり×こはえむ
最近こはねちゃんといると楽しい。
一緒にご飯食べたり、帰りに寄り道したり、
時には手を繋いだりして。
喧嘩もたまにするけど、すぐお互い仲直りしてコンビニで買ったアイスをはんぶんこ。
日々過ごしていくうちにどんどん好きになって
なんだか心が踊るように毎日が清々しい。
今日も学校に登校してこはねちゃんに目を向ける。
朝日に照らされて光るクリーム色の髪の毛、凛としたまつ毛。触れたらとろけてしまいそうな唇、
何もかも綺麗に輝いて見えて理性を保たないと
惚けてしまいそう。
これが、どんな感情かわからないけど…今日も
こはねちゃんに話しかける。
「おはよう、こはねちゃん!今日は早いね?どうしたの??」
こはねちゃんは私の声に気がつくと嬉しそうに微笑む。
「おはよう、みのりちゃん。えへへ、顔に出てたかな。今日ね、登校する時に最近出来たたい焼き屋さんを見つけて種類もいっぱいだしデザインも可愛いからなんだかえむちゃんが好きそうだなって思って見てたの、それで早くえむちゃんに報告したくて」
そういうと、こはねちゃんはカバンからチラシを出して私に見せてくれた。
「わぁ〜確かに種類がいっぱいだね!デザインも可愛いし、えむちゃん好きそう!!」
「だよね!えへへ、えむちゃんどんな反応するかな」
「………。」
そういえばこはねちゃん、最近たい焼きとか飴とかえむちゃんが好きそうな話ばかりしてる気がする。なんでだろう?
でも、それほどえむちゃんが好きなんだし仲良くなりたいならそれはそれでいっか。
「こはねちゃーん!!」
噂をすれば彼女が来たみたい。
私はこはねちゃんに視線を向けて廊下に立っているえむちゃんに指を差す。
「えむちゃんが呼んでるよ!いってきなよ、こはねちゃん!!」
「う、うん…!ありがとね、みのりちゃん」
こはねちゃんは少し動揺していたけど、すぐにいつもの顔に戻りチラシを持ったままえむちゃんが待つ廊下の方に駆けていった。
私はそれを微笑ましく見ていた。
(ふっふふ〜ん♪購買に売ってたパン売りきらなくてよかったな。このパンすぐに売り切れちゃうから今日は食べれないかと思ったよ!)
そう思い、袋からパンを取り出す。
廊下から広場に向かおうとするとふいに、窓の外にいるこはねちゃんとえむちゃんに目がいく。
(あ、こはねちゃんとえむちゃんだ!!朝見せてくれたチラシを見てるのかな?)
窓から身を乗り出して眺めていると2人の楽しそうな会話と笑い声がこちらにも伝わってきた。
(…こはねちゃん楽しそうだな。えむちゃんといる時はあんな顔も出来たんだ…普段見れない表情だからなんか新鮮だな)
チクリ
(あれ…なんか胸がズキズキして痛い。なんで??)
2人とも楽しそうなんだよ、仲良しなんだよ、
いい事なのにどうして、どうして
――――どうしてこんなに胸が苦しいんだろう。
「―――のりちゃん…――――みのりちゃん!!」
!!
気がつくと、もう授業が終わり、みんなは帰る準備をしていた。
目の前にはさっさまで、えむちゃんと楽しそうに話していたこはねちゃんもいて。
「…こはねちゃん」
私がぼんやりと口にするとこはねちゃんは手を差し出してくる。
「一緒に帰ろう?最近ここに出来た雑貨屋さんが気になって」
「………。」
雑貨屋さん…えむちゃんに渡すのかな??
でも、なんで私なんかに…。
私はこはねちゃんの友達だよ?でも私はえむちゃんが知ってるこはねちゃんは知らない。
高校で出来た初めての友達なのに。
チクリ
「……ごめんね!こはねちゃん!!私、まだメンバーから教えてもらった筋トレ終わってないから屋上で自主練してくるよ!誘ってくれたのにホントにごめんね!!」
「いいよ、いいよ。自主練、頑張ってね!!」
「うん、それじゃまた!」
私はこはねちゃんから逃げるように足早に教室から出ていった。
「………みのりちゃん」
――シュウッッッ
「勢いでセカイに来ちゃったけど…誰もいない…よね??」
周りを確認してみたけど運よくミクちゃんやリンちゃんはいないみたい。
「………」
私、最低だ。
こはねちゃんは、ただえむちゃんと仲良くなりたいだけなのに私はそれに嫉妬してこはねちゃんを避けちゃった。
こはねちゃんは何も悪くないのに。
「こんなんじゃアイドルもファンもガッカリさせちゃうよね」
「――あら?そんなことはないと思うわよ?」
「え?」
ステージに座って1人モヤモヤしているとルカちゃんが後ろから見下ろしていた。
「…ルカちゃん」
「ふふっ、みのりちゃん。こんにちは♪なにか悩んでいるみたいね??」
図星を突っかれた。
私は、諦めてルカちゃんに話すことにした。
「そう…みのりちゃんは普段見られない顔を友達の友達に見られて焼きもちを妬いているのね」
「うん、こはねちゃんは高校で出来た初めての友達なんだけど…いつの間にか私も知らない表情が周りに見られてて。なんか、寂しいな…って」
「………。」
「でも、こはねちゃんはその子の事が好きみたいだし、私も出来れば応援したいんだけど応援するとなると胸がギューッと締め付けられるんだ」
私もこはねちゃんが好きなのに。
「…みのりちゃんは本当にその子の事が好きなのね。普段見られない顔を他の誰かに見られたら誰だって苦しくなるし、寂しくなるわ。でもね」
――――“それもいい経験なんじゃないかしら?”
「え?」
「…アイドルってね、恋愛してはいけないの。人1人の人に想いをのせてしまってはここにいる大勢の人に届かないわ、でもね、人は人。恋しちゃうものなの♪だからね、私は大勢の人を好きになることにしたわ。そしたらね、毎日がとっても楽しいの♪♪人1人個性が違うだけでこんなにも心を揺さぶられるもの。私も、つい応えたくなってしまったわ」
「………」
「恋心を忘れてほしいとは言わないわ。けれどそれを原動力に使って新しく始めるの、みのりちゃんが、その子の事が好きなようにその子の友達も好きになればいいのよ」
「………」
大丈夫、その想いを大事にして。みのりちゃんの力になるわ
「…ルカちゃん」
私は涙を伝う一歩手前に拭いてルカちゃんに満面の笑みを見せた。
「…私、頑張ってみるよ!えむちゃんが私よりもこはねちゃんの事を好きなように私もえむちゃんの事、もっともっとも〜っと知って好きになって仲良くなりたい」
だって、こはねちゃんは私の“友達”であり好きな人だから!
「ええ、それでいいのよ」
朝、いつも通り登校していると後ろからこはねちゃんの声が聞こえた気がして、振り返るとこはねちゃんが走っていた。
「みのりちゃ――ん!!」
「こはねちゃん、どうしたの?」
こはねちゃんは息を切らしたまま、カバンから動物の形をしたキーホルダーを取り出す。
「これ、みのりちゃんにあげる!」
「えっ、私に??」
「うん、本当は昨日渡して言いたかったんだけど……みのりちゃん、自主練行っちゃったから」
「あー…そうだったね」
2人の間に沈黙が流れる。
私は勇気を振り絞って、こはねちゃんの手を取り
真っ直ぐ彼女の瞳を捉える。
「私、応援するよ!それでもっともっとも〜っと二人の事を好きになって仲良くする!!」
「…え?」
「だからその…昨日は誘ってくれたお詫びに避けちゃって、ごめんね。私の中で心の整理がつかなくて…でももう大丈夫だから!!」
「…みのりちゃん」
こはねちゃんはゆっくりと一息吐いてから話し出した。
「…あのね私、えむちゃんとお付き合いしてるの。女の子同士で恋愛なんておかしく見えるかなって、変に思われるかなってみのりちゃんには黙ってたんだけどやっぱり言うの怖くて辛くて。」
今まで黙っててごめんね、そして…ありがとう!
「こはねちゃん!!」
私は彼女が言い終わるのと同時に、こはねちゃんを抱き締めていた。
今でも泣きそうな彼女の姿と自分の気持ちに耐え切れなくなったからだ。
私、頑張ったよ!勇気、振り絞れたよ!!
気持ち、伝えられたよ!
「「ルカちゃん見てくれてるかな」」
「ええ、ちゃんと見ているわよ。みのりちゃんよく頑張ったわね」
「そう言ってルカの方は大丈夫なの?」
画面越しに彼女たちを見ていると横からひょっこりとめーちゃんが出てきた。
「ええ、私はあの子が幸せになってくれるだけで充分だもの」
「そーう?」
ステージの上からスポットライトをかがけて見上げる。そして私はボッソリと呟く。
「「今日もサーモンが輝いて見えるわね」」
END