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───が思う夢とは一体何ですか。
例えば────?
自分の記憶を整理する為のモノ?
希望?
生きがい?
僕は夢と記憶は似たようなものなんだと思うなー。
だって記憶はいつか忘れちゃうだけだし、夢だって目が覚めちゃったら思い出せなくなるじゃん。
凄いロマンティックだよねえ。
忘れていた記憶を夢で思い出す事や、不意に忘れていた夢を思い出す事だってある。
夢と記憶はニつで一つなんだろうね。きっと。
夢と記憶は………二つで……一つ………。
──────────
「………兄ちゃん??」
妹のにゃぽんがこちらをガン見していた。
「…えっ、あ、ごめんなさい、考え事してました。」
そう言い返したらにゃぽんは呆れたようにため息をついて腕を組む。
「あのさぁ……僕はそっちが問いかけてきたから答えただけなのに………
どうせ僕が一生懸命考えて答えている間仕事の事とかエナドリの事とか考えてたんでしょ〜この社畜」
「私はそんなに仕事命なThe社畜じゃありませんよ……。」
「いやいや、でもこの間なんて……」
「んもう、にゃぽん!休日くらい仕事の事なんか忘れさせて下さいよ ?!」
そうツッコむと、にゃぽんはくすりと笑った。
……んもうこの子はホントに……
「てかさー覚えてる?兄ちゃん?
お父さん達がまだ生きてた頃起こった『探さないで下さい事件』。」
いきなりにゃぽんの口からこんな話題の話が出てくると思わなかったので私は唖然として言葉が出ずにいると、にゃぽんはお茶を啜ると続けて話しだす。
「僕と兄ちゃんが鬼ごっこしてたら兄ちゃんが急に消えて僕がパニックになってたら家の方では『少し遠くへ行ってきます、探さないで下さい。』って、置き手紙が置いてあってお父さん達がパニックになって、そして僕達が兄ちゃんのこと探して…」
「そうだったんですか?!?!」
私はにゃぽんの話を遮ると、え?!知らなかったの?!と驚かれた。
「えぇーと、それで僕達一旦家に帰ったら、兄ちゃん布団の中で寝てたんだよ、、、ホント兄ちゃん今まで何処行ってたの???」
確かに私は何で。
……でも考えても意味無いか、
あの時は眠かったから家に帰って…
で……
というか私その時の事殆ど覚えて無いですし、いや無いとは限らない…のか…??
「兄ちゃん…????」
「えっ?あ、すみません…」
にゃぽんは口はにっこりとしていたが目が全然笑っていなかった。
… これはまずい…。
また無視してしまった。
ヤバい消されてしまう…。
ってかめっちゃ負のオーラ漂ってるし…。
話を変えなきゃ。
「そういえば私最近変な夢を見るんです。」
「?どんな夢?」
「迷子になる夢…です。」
「………迷子?」
「にゃぽんを追いかけていたら気付いたら全く知らない所に居ました。」
「えぇ〜 で、どうしたの?」
「で、えーっと…確か大きな鳥居がありましたね、でそこを潜って、」
「待って待って?!?!」
にゃぽんは慌てて私にストップをかけてきた。
「ど、どうしたんですか?」
「どうやって、その後はどうしたの?!?!」
「えっ、助けてもらいました。」
「誰にっ?!?!?!!」
にゃぽんは答えを急かすかの様に大きな声で言った。
「………覚えてないんです…。」
「覚”えてないの?!でもまぁそうか…夢だもんね、 」
私は頷き、少し黙っているとにゃぽんも何かを察したのか喋らなくなり空気が重くなってきたので私はまた口を動かす。
「何でだろう…ホントに顔すら思い出せないんです。」
「本当にあった事なのか、それとも私の想像なのか…全く分かんないんです…
私ってホントサイテー過ぎますよね、」
「そんなことないよっ!!」
「夢は忘れてしまうのが当たり前のものだし、僕だって凄い昔の記憶なんてもう忘れちゃってるよ!!!だから兄ちゃんは何も悪くない!!それなら僕も責めて!!!」
「……ありがとうございます。にゃぽん」
私はにゃぽんの頭を撫でた。
「でも夢から覚めた時、私少し泣いてたんです。」
「私は昔そういう似たような体験をしたんでしょうね。」
「ほぇーー。」
「まぁでも早く寝なよ〜?明日会社でしょ〜?おやすみー!」
にゃぽんはそう言い残すと、
洗い物の続きをしようと台所に向かった。
私は部屋に戻り、
カーテンと窓を開けて 空を見上げ、
夜の匂いを吸った。
冷たくて澄んでいる夜の匂いが私の肺の中に落ちて広まっていき、とても心地良かった。
「………」
私は真上を見渡すと夜空にチラチラと輝いてお月さまと一緒に楽しそうに踊っているお星さまはとても幻想的で……美しくて……羨ましくて……。
「私もお星さまみたいになれたらな……」
誰かを笑顔にさせてくれるお星さま。
毎日雨の日も風の日も曇ってる日も、
お星さまは今日も何処かの夜空で踊ってる。
羨ましい。
お星さまやお月さまは死なない。
ずっと誰かを見守ってくれてる。
ずっと誰かを照らして励まして 応援してくれる。
赤の他人でもある人々に………。
私はどうだろうか?
国はいつか崩壊する。
赤の他人が困っていたら見て見ぬふりをする。
誰かと争って無駄な血を流す。
上の奴らに頭を下げて謝る。
ずっと下を向いて会社に向かい、
また上の奴らに頭を下げて謝る。
スマホを見て 現実逃避をする。
夜は好きだ、でも朝が怖い、辛い。
また毎日同じ事を繰り返す。
あーあ。なんて有害な国何だろう…。
「子供の頃に戻りたい……。」
だけど時間はそれを許してくれない。
悔やんでも後悔してもまた時間が過ぎてしまう。
子供の頃は良かったなぁ…
私もお月さまやお星さま の様な
国だったんだから。
毎日が楽しくて生きてて嬉しかった。
死ぬのが怖かった。
でも父さんがふっと笑って頭を撫でてくれた。
大きな音が怖かった。
にゃぽんがずっとそばにいてくれた。
父さんに怒られるのが怖かった。
でも追いかけっこが楽しかった。
夜が怖かった。
夜………
もう良いや。
眠い、もう寝よ。(唐突)
私は窓を閉め、カーテンを閉めようとするお星さま達とたまたま目が合った。
こんな私の事を心配しているかの様に、
夜空を淡く照らしている。
何で…貴方達は………。
「………。」
「……ありがとう…お休みなさい。」
私は感謝を伝えてから、
ゆっくりとカーテンを閉めた。