コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「”薄暮の縛”!!」
術式が発動し、廃寺の内部が暗闇に包まれる。
「小細工を……!」
鹿島は冷静に印を結んだ。
「”陰視の瞳”!」
彼の目が妖しく輝き、暗闇の中でも敵の姿がはっきりと浮かび上がる。
「ふっ、視えないと思ったか?」
次の瞬間、鹿島が手を振るうと、改造呪霊たちが庵歌姫と楽巌寺に襲いかかる。
「厄介な……!」
庵歌姫は素早く呪具を振るい、接近する呪霊を切り裂く。
「”■”!!」
楽巌寺嘉伸が三味線を弾くと、強烈な雷撃が呪霊たちを貫く。
「ぐおおお!」
改造呪霊が爆散するが、鹿島は余裕の表情を浮かべた。
「ふん、呪霊ごときに手こずっているようでは、俺には勝てんぞ」
「言ってくれるわね」
庵歌姫が鹿島に向かって一気に踏み込む。
「”月影斬”!!」
呪具が煌めき、鹿島の腕を狙う。
「遅い」
鹿島は軽やかに身を翻し、回避する。
「……!」
だが、庵歌姫の狙いはそこではなかった。
「今よ、楽巌寺先生!!」
「”轟音破”!!」
楽巌寺が渾身の音撃を放つと、鹿島の周囲に衝撃波が走る。
「……ッ!?」
回避不能の状態で直撃を受けた鹿島は、壁へと吹き飛ばされた。
「ぐ……!」
血を吐きながらも、鹿島は立ち上がる。
「俺が……負けるはずが……!」
しかし、次の瞬間、鹿島の背後に影が差し込んだ。
「……遅いぞ、お前」
「!?!?」
鹿島が振り向くと、そこには拘束を破った夜蛾正道が立っていた。
「……夜蛾……!!」
「お前の理論には欠陥がある」
夜蛾が低く呟く。
「術師は呪霊を利用するものじゃない。”制御”できると思った瞬間に、支配される側に回る」
「黙れぇぇええ!!!」
鹿島が最後の力を振り絞り、術式を発動しようとする。
「”呪骸制圧――”」
だが、その瞬間、夜蛾の拳が鹿島の顔面を撃ち抜いた。
「……っが……!」
鹿島の意識が暗転し、その場に崩れ落ちた。
静寂が戻る。
「終わった……?」
庵歌姫が安堵の息を漏らす。
だが、その時――
「……そうか、鹿島は死んだか」
重々しい声が廃寺内に響いた。
「!?」
庵歌姫たちが振り向くと、そこには長身の男が立っていた。
「まさか……!」
夜蛾が険しい表情で呟く。
「……不知火陣」
黒い着流しをまとった男が、ゆっくりと歩み寄ってくる。
「なるほど……やはり、鹿島ではダメだったか」
不知火は倒れた鹿島の遺体を一瞥し、興味を失ったように顔を背ける。
「さて、こっからが本番だ」
彼はポケットから何かを取り出す。
「”魂継の印”」
不知火が印を結ぶと、鹿島の死体がビクッと痙攣し始める。
「!!?」
鹿島の体がゆっくりと起き上がった。
「……おい、まさか……」
夜蛾が警戒する。
「”魂の複製”――つまり、こいつの意識を一時的に戻しただけさ」
不知火は不敵に笑う。
「よう、鹿島。お前、死んだってのにまだ役に立つぞ?」
「……オレは……死んだ……?」
意識を取り戻した鹿島が呆然と呟く。
「そうだ。そして、俺の駒になれ」
不知火が指を鳴らすと、鹿島の体が異形へと変化していく。
「ぐ……ああああああ!!!」
鹿島の皮膚が黒く変色し、目が光を失う。
「嘘…………!」
庵歌姫が息を呑む。
「……やれやれ、仕方ないな」
不知火は軽く肩をすくめる。
「これで、俺の”兵”が一体増えた」
異形の鹿島がゆっくりと立ち上がる。
「”鹿島改”、お前の最初の仕事だ」
不知火が指を指す。
「こいつらを殺せ」
次の瞬間、異形となった鹿島が猛然と庵歌姫たちに襲いかかる――!!