窓から吹き込んできた頬を撫でる春風に心地良さを感じながら仕事を続けていると、いつの間にか教室が静寂に包まれていることに気づいた。もうほとんど人は残っていない。
HRから既に1時間が経過していた。
(キリがええとこまでやったし、もう切り上げるか….)
新学期のドタバタとした時期も越え、やっと待ち望んだ穏やかな週末がすぐそこまで迫っている。はやる気持ちを抑えながら机の上をを片付けていく。
1度職員室に戻ろうと荷物を抱え、戸締りをしようと教室を見渡すと、窓際の席に1人生徒が残っていることに気がついた。顔を机に伏したまま、心地よさそうに寝息を立てている。
(はぁー。こいつ、今日遅刻してきたくせにまだ寝足りないんか…)
「おい、ニキー!先生もう職員室戻るからな???まだおるんやったら、窓とかの戸締りよろしくなあ??」
「…んー…??」
まだ寝ぼけているのか、呻き声を上げながら俺の声に反応した彼がゆっくりと顔を上げる。
その彫刻のような横顔を窓から差し込む夕日が照らしていた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!