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魔物の討伐を終えた後、サブ、みりん、萌香は、戦利品を確認しつつも、やはり気になる存在がひとつ残っていた。
それは、まどかだ。
彼女は、戦闘後もひとり静かに座り込んでいた。かつての冷徹な暗殺者の面影はどこかに消え、今やただの少女のように見える。
レイスが見守る中、サブが不安げに言葉をかけた。
「まどか、あんな強力な魔物たちをどうして操るんだ?お前がそんな力を持つ理由、説明してくれ。」
まどかは一瞬、目を伏せると、やがて静かに口を開いた。
「…理由、か。私はね、元々人間だった。でも、裏切られて、最終的に死んだんだ。」
まどかの声には、どこか悲しみが滲んでいた。
「私は死霊魔術師の家来だったんだよ。けど、裏切り者にされて…最終的に、自ら命を絶った。」
その言葉に、萌香が驚きの声を上げる。
「えっ…だったら、どうして転生しているんだ?それって…おかしくないか?」
まどかは小さく笑みを浮かべたが、それは苦しげなものだった。
「転生することは運命だった。ただ、転生した先で別の役目があると思っただけだ。でも、王国やあの連中に使われるのが嫌で嫌でたまらない。」
彼女の瞳には、恨み と 反発 の色が浮かんでいた。
「だから…ここに隠れてるってわけか。」
レイスが冷徹な口調で問いかけた。
まどかは少し黙った後、静かに答える。
「そう、ここにいるのはただの逃げ場だから。でも、あんたたちに頼りたいわけじゃない。ただ…少しでも楽になりたくて。」
まどかが心の中で感じているのは、ただ解放という言葉だけだろう。
そして、サブがじっと彼女を見つめながら言葉を続ける。
「それで、どうして俺たちに匿われることに決めたんだ?」
まどかは少し躊躇し、やがてため息をついた。
「…私はもう、どこにも行けない。でも、あんたたちとなら生きていける気がする。」
その言葉には、強がりの裏にほんの少しの希望が込められていた。
萌香がその発言を受け、柔らかな笑顔でまどかに近づいた。
「じゃあ、一緒にやっていこうよ!うちらも昔は大変だったんだから、少しくらいは手伝ってあげる。」
その言葉に、まどかは一瞬だけ驚いた表情を浮かべ、そして少しだけ安堵の表情を見せた。
「…ありがとう、でもあんたたち、私をどうして匿うの?私、そんなに信用できる存在じゃないよ?」
サブが答える。
「だって、俺たちだって逃げてきたし、戦ってきたし。一緒だよ。もう、裏切られるのは嫌だし、戦う理由も一緒だからさ。」
それを聞いて、まどかはふと考え込み、やがて小さく頷く。
「…わかった。じゃあ、少しだけでも信じてみる。」
そして、レイスが冷徹に声をかける。
「お前がどうしてここにいることにしても、今は俺たちと同じ立場だ。次の戦いでは、お前もちゃんと戦え。」
まどかは少しうなずくと、他の仲間たちに向かって微笑んだ。
「ありがとう…これからもよろしくね。」
その瞬間、まどかの心に一つ、決意が生まれた。
誰かに支えられながらでも、生きていく道があることを知ったから。