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START(通報やめて❌️)(佐藤様 鶴田様すいません)
縷々は梨里の顔をじっと見てから、廃屋の脇の薄暗い路地を見た。
「急がないと白鳥さんに勝てないよ!」
梨里の言葉に縷々はうなずく。
「お姉ちゃん、分かった」
「よし!」
梨里は縷々を先導するように路地に入っていった。
その路地は人間が2人並ぶのがやっとの幅だ。
地面に敷石がとびとびで置かれていた。
それ以外の所から雑草が伸びている。
こんなところを歩くのは野良猫くらいだろう。
2人は家々や町の集会場、幼稚園などの裏側を走る。
「ほら、急いで!」
梨里は後ろから付いてくる妹に声を掛ける。
縷々はよほど無理をして白鳥を追ったらしく、思うように走れなかった。
「お姉ちゃん 待ってよ!」
「頑張ってよ!近道したのに、白鳥さんに勝てなかったら最悪よ!」
辛そうに顔を歪める妹の腕を、お構いなくグイッと引いて走る梨里。
ところが――、
「え!?」
梨里は目を疑って思わず立ち止まった。
目の前に、蔦が絡まった廃屋が見えたからだ。
ボウボウと生えた草に囲まれた一軒家。
「お姉ちゃん、さっき見た家と同じみたいだけど?」
「そ、そんなわけないよ。雑草が生えているから同じに見えるだけよ」
妹の言う通りだと思ったが、梨里はうそぶいた。
「さ、行こ!」
悩んでいる暇はないと思った梨里は、再び走り出した。
2人は雑草が茂る細い道を走る。
その路地は人間が2人並ぶのがやっとの幅だ。
地面に敷石がとびとびで置かれていた。
それ以外の所からは雑草が伸びている。
2人は家々や町の集会場、幼稚園などの裏側を走る。
「縷々、急いで!」
梨里は後ろから付いてくる妹に声を掛ける。
ところが――、
「え!?」
梨里は再び目を疑って、思わず立ち止まった。
目の前に蔦が絡まった廃屋が見えたからだ。
ボウボウと生えた草に囲まれた一軒家。
「お姉ちゃん、なにか変だよ」
さすがに不安になり、梨里はあたりを見回した。
縷々は梨里に身を寄せる。
「お姉ちゃん、本当に大通りに出れるの?」
(どうしよう?)
梨里に焦りが募った。
その時――、
タッタッタッ
今、走ってきた側から足音が聞こえてきた。
梨里と縷々は足音のほうを向く。
タッタッタッタッ
灰色の塀に挟まれた雑草だらけの道を、人影が走ってくるのが見えてきた。
上下グレーのトレーニングウェアを着ているようだ。
「ねえ、お姉ちゃん。マラソンの参加者かな?」
「たぶん……」
「私たちみたいに近道をしようと思ったのかな?」
「そうかもね」
「でも、なんか変じゃない?」
「なんか変?」
「だって胸にゼッケン番号無いよ」
梨里は自分と妹の胸をチラリと見た。
梨里はゼッケンを付けているのに、走っているグレーのウェアの胸に番号は見えない。
それに、よほど走っているのか、顔が妙に赤い。
でも、真っすぐこちらに向かってくる姿に迷いは感じられない。
「縷々、あの人に道を訪ねてみるね」
「え?でも、なんか変だよ」
縷々はちょと心配になった。
しかし、一刻も早く大通りに出たい梨里は、それどころではない。
「すいません!この道を真っすぐ進んだら、大通りに出れますか?」
梨里は大声で尋ねながら、グレーのウェアの人の人の方に走った。
タッタッタッタッタッタッタッタッ
真っすぐ近づいてくる人。
梨里は気づいた。
その顔が、なぜ赤いのかを。
全部が口だ!鋭い牙の生えた口だ!
巨大なワニが口を全開にしているような顔。
赤く見えたのは、口の中が丸見えになっていたからだ。
大きな口の怪人だ。
「きゃぁぁぁ!」
梨里は縷々のもとに戻る。
「逃げるよ!」
縷々も、近づいてくる怪人の正体に震え上がる。
「お姉ちゃん、なに、あれっ!?」
「いいから、逃げるよ!」
梨里は縷々の腕を掴んで走り出した。
タッタッタッタッタッタッタッタッ
背後から怪人の足音が追ってくる。
「「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」」
姉妹は荒い息で必死に走る。
最大限の力で走る2人。
塀に挟まれた一本道をひたすら走る。
だが――、
ダッダッダッダッダッダ!
背後の怪人はスピードを上げてきた。
縷々は不安になって、走りながら振り返った。
グワァァァァ!
怪人はすでに口を、更に大きく開く
「きゃあああぁぁ!」
悲鳴を上げた縷々は思わずよたつく。
足がもつれて、倒れた。
「痛っ!お姉ちゃん!助けて!」
先に行ってしまった梨里に呼びかける。
「縷々!!」
あわてて縷々を抱き起こそうとする梨里。
グッワッッ!!
怪人の口が全開になり、走り寄ってくる。
大きな口からよだれが垂れた。
2人を食べようとする。
「来ないでっ!」
梨里は、地面に落ちていたゴルフボール大の石に気づいた。
とっさにそれを拾うと、力一杯投げる。
シュッ!
石が空を切り、怪人の口に命中した。
グゥエェェ!
痛みでうめく怪人は、口をパクパクさせながら身をよじり、地面に倒れた。
「縷々、早く立って!」
「うん!」
姉妹は再び走り出した。
その途端、梨里は目を疑った。
「嘘でしょ!」
またも、目の前に蔦が絡まった廃屋が見えた。
ボウボウと生えた草に囲まれた一軒家。
さっきまでは無かったはずだ。
奇妙だったが、怪人からに逃げることが先だ。
廃屋の脇にたどり着くと、チラリと怪物を見た。
をパクパクさせながら、痛みでまだうめいている。
でもすぐに立ち上がろうとする。
「お姉ちゃん、どうするの?」
「隠れよ!」
梨里は縷々の腕を引いた。
「逃げても、あいつはまた追ってくるだけよ。それより隠れてやり過ごそ」
縷々は納得したので、2人は背の高い雑草の中に身を隠した。
梨里は、息をひそめて目の前の草を手で分ける。
その隙間から怪人が見える。
ウグググゥ
うなり声と共に怪人が立ち上がった。
「お姉ちゃん!…」
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