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診察室のドアを開ける。
「失礼します……」
ドアを開けると医者がパソコンで何かを打ち込んでいた。
「猫宮さんどうぞ。その椅子に座って下さい」
医者の横にいる看護師に目の前にある椅子を勧められる。
勧められる通りに椅子に腰掛けると医者が口を開いた。
「あぁー、猫宮さん。検査の結果だけど、、」
医者が言いにく様に少し口もごもごさせる。
「、何か異常あったんですか?」
心配になり、医者に問いかける。
もし、異常があったりしたらこれからもグループ活動にも個人活動にも影響が出る。
ないこの事もある異常それがある訳にはいかないのだ。
どうしたものか、活動休止するしかないんやろうか?
嫌な考えが頭を巡り不安になっていると医者が拍子抜けする様な事を言った。
「いやあ、特に異常は無いんだけどねぇ、。看護師達のやる気が、ねぇ?」
「へ?」
異常はない?
それは良かったが、看護師達のやる気と俺の何が関係あるんだろうか。
「その、猫宮くんって顔立ちが整ってるじゃないか。
俗に言うイケメンって奴だ。
看護師達は猫宮くんがイケメンだから最近いつもより張り切って仕事してるんだよ。
この前なんて看護師の1人が(「私猫宮さん担当の1人に入ってるから会っても嫌な印象抱かれない様出来る限り笑顔を意識する様にしてたの、そしたら最近そのお陰で他の担当の患者さんからあんた、良い笑顔しとるねぇ、って言われたの!!
イケメンも見れて患者さんからの好感度も上がって、一石二鳥〜!!」)と言う感じの話声が聞こえてくるんだよ。
だから、猫宮くんが退院したらそういう話も聞かなくなるんじゃと考えると何だが名残り惜しくてねぇ、、」
「、、、」
イケメンってだけでそんなにモチベが上がるものなのか?
確かに、顔立ちは整っていると言われる事はよくあるが、。
まさかそこまで影響力があるとは思いもしなかった。
「、結果を伝えるだけなのに長々と話してしまってすまなかったねぇ。
とにかく体に異常がある訳ではないから。
後、今日一日だけ入院して明日には退院出来るよ」
「!ありがとうございます!!」
「では、お大事にして下さいね」
俺は医者に礼を伝え、診察室を後にした。
「明日……」
夜中、退院する明日の事を考え俺はひたすらに天井を見つめる。
「次の雨の日にないこの家、ね」
昨日あった出来事が脳裏を離れない。
死んだ筈のないこが俺と話したなんて。
幻覚であんなに再現出来るものなのか?
それにしては声も顔も鮮明に記憶に残っている。
あんな声も表情も見た事がなかった。
それに、。
俺は昨日ないこに触れられた自分の唇にそっと触れる。
、ないこに触れられた、。
「っ、/」
思い出すと顔が赤くなるのが分かる。
あぁ、やめだやめ、そんな事考えるのはもうやめよう。
次の雨の日に幻覚なのかは全て分かる事だ。
俺はそう思い深く布団に潜り込んだ。
「……次の雨の日はいつやろ、」
俺はふと気になって棚に置いてあったスマホを手に取り今月の天気を確認する。
すると、明日の予報にマークと共に雨という文字書かれていた。
「まろ、退院おめでとう!!」
弾ける音と共に俺の顔にキラキラした紙が降り注ぐ。
雨の日、今日はメンバー全員であにきの家に集まり俺の退院祝いをしていた。
ケーキやあにきが作ったであろう豪華なご馳走が食卓に並んでいた。
「いや、ほんままろちゃんが無事で良かったわ〜!!プハぁッ!!」
初兎が嬉しそうに笑いオレンジジュースに手を付け一息に飲み干す。
「ほんほほんほげんきでよほったんモグモグ」
口いっぱいにご馳走を頬張るりうら。
「おいwりうら口に沢山もの詰め込みながら話すなってw
何言っとるか分からんからw」
そしてそんなりうらを笑いツッコミを入れるあにき。
3人が騒いでいるそんな中、静かに黙り込んでいたほとけが口を開く。
「………あのさぁ、何で皆そんな楽しそうなの?」
いつものふわふわボイスと違い低い声で話すほとけに全員の動きが止まる。
「ないちゃんに何があったか皆知ってるんでしょ?
何で、そんなに呑気でいられるの?
ないちゃんが可哀想だと思わない訳?」
ほとけが俺達をキッと睨みそう呟く。
、確かにほとけの言う通りないこが亡くなった、という事を知ってる割には皆元気そうにいしている。
まるで、何もなかったかの様に……、。
「僕達さぁ、こんな事してる暇じゃないんじゃない?
グループ活動もないちゃんの事も色々しなきゃいけないのに……」
ほとけの言葉だけが静寂な部屋の中に響き渡る。
「ないちゃんじゃなくて、
「いふくんが死ねば良かったのに」
ほとけがボソッと一言そう呟いた。
そのほとけの一言に皆が凍り付く。
俺が……
「…死ねば……良かったん、?」
「そうだよ。いふくん」
俺の後に言葉を続けるほとけ。
「っ!!まろ、ほとけの言葉間に受けんな!!皆そんな事思っとらんから!!
おい!!ほとけ、今お前なんて言った!?
まろが死ねば良いやって!?何言うとんねんお前は!!」
あにきが激怒した様子で立ち上がりほとけの胸ぐらを掴む。
「はっwだってそうじゃん。
僕達これからのいれいすにないちゃんは欠かせないメンバーだった。
なのに、ないちゃんは死んでしまった。
”いふくんを庇ったから“」
「それはッ、」
あにきが言葉に詰まった様に苦しそうな顔をする。
「ほらw図星じゃん?本当は皆そう思ってるんでしょ?
隠さなくて良いじゃん。」
「ほとけっち…っ」
「んー?何りうちゃん?」
「やめようよッ……」
「……何で?全部いふくんのせいなのに?」
ほとけがさも不思議そうに問いかけるりうらの顔を覗き込む。
「ッ、でも、」
りうらが目に涙を浮かべながら必死に言い返そうとする。
すると、そんなりうらの前に誰かが立った。
「、いむくん」
初兎、だった。
「ん?もしかして初兎ちゃんもそう思ってるw?
あー良かった!!やっと理解してくれる人が出来たよ!!
初兎ちゃんなら分かってくれると思ってたよ〜〜!!」
ほとけがケラケラと笑いながら初兎に近づき手を伸ばす。
その時だった。
「黙れ」
次の瞬間、低い声と共に初兎がほとけの手が振り払った。
「!!」
「まろちゃんは何も悪くない。まろちゃんを庇ったないちゃんもや。
二度とないちゃんの選択が間違ってたなんていう事を言うな」
初兎が今まで見た事がないほど怖い顔でほとけを睨み付ける。
「、ふーん、初兎ちゃんもあにき達の味方するんだ。ま、いいけど僕は1人でも出来るし。
これから必要以上に僕に声かけないでよ」
ほとけはそう言うと荷物を持ち、扉から出て行った。
「、、、」
「ヒグッ、ないく“んっ、ぅ”」
「、チッ」
悔しそうな顔をするあにきにぼろぼろとなくりうら。
何処かを睨み付けながら舌打ちをする初兎。
雰囲気は最悪だった。
ほとけが居なくなった部屋にはりうらの泣きじゃくる声だけが響き渡っていた。
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