登場人物
主人公【海月 優弦】ウミツキ ユズル
友達【暁 志弦】アカツキ シズル
今でも、鮮明に覚えている。彼の時の、アイツの、気持ち悪い笑い声。顔、目線、無駄に熱を帯びている自分の体。
《やめろッ!! ッ離せよ!!》
《えー?何でよ?》
そして、思い切り抵抗することが出来ない自分も。何もかもが、気持ち悪かった。
気持ち悪い。気持ち悪い。もう喋るな。黙れ。俺に触るな——— …。
「ッは………!はッ……。」
ピピピピッ!
「朝か……。」
アラームの、キンキンとする煩い音が、悪夢の海に溺れた手を、引っ張り上げた。彼の、地獄の悪夢の所為で、汗すらかかず、余韻で残る恐怖に、体は、カタカタと小刻みに震えていた。
「…朝ご飯……。」
今から学校だと言うのに、体はカタカタと震えた儘、力が思う様に入らず、ベッドから起き上がれなかった。準備をしなければならないのに、面倒臭い事に、体が言うことを聞かない。もう、いっその事、此の儘サボって仕舞おうか。そんな考えが、一目散に思い浮かぶ。すると、タイミングの悪い事に、震えが治って来てしまった。
どうせなら、もっと早く治ってくれないかねぇ?
なんて文句を、心の中で、自分に向かって言いながら、嫌々、顔を洗いに、重い体で洗面台へとダラダラと歩いた。
バシャバシャ
手の中へ水を溜めて、其の水へ顔を浸すと、手の中から溢れて行く水と共に、体に付き纏っていた怠さが、一気に消え失せて行く。体の震えも、すっかり治り、制服を着て、鞄を持ったら、白米を握っただけの、簡単なおにぎりを口に詰め込んだ。マスクも着けて、さっさと家を出た。
玄関のドアを開けた途端に、朝の澄んだ空気と、眩しい日の光が包容して、清々しい気持ちになりながら、学校迄の道を、ゆっくりと歩く。
「今日は、何時にも増して心地が良い…。」
肺の中に入るだけ、朝の空気を吸い込んで、青く澄んだ空を見上げながら、軽快に歩いていた時だった。
「優弦!!おっはー!!!!」
「うおッッ?!」
急に、後ろから勢いよく首に腕をかけられ、五月蝿い程、元気と言う言葉がピッタリな声が飛んでくる。
「志弦か…。びっくりした……。」
「おはよ。」
後ろに居たのは、同級生のクラスメイトで、友達の、志弦だった。
(志弦)「驚かせちゃったか?ごめんな。」
思っていたよりも、此方が驚いていたのか、志弦は、申し訳なさそうに謝った。
「いや、全然大丈夫。」
「一緒に行こうぜ。」
(志弦)「もっちろん!其のつもり!」
「ッハハ。朝から元気だな。」
屈託の無い、太陽の様に見える笑顔は、正に、元気だ。
(志弦)「そう言えばさ、優弦と、一限目の講義っておんなじだよな!其れも一緒に行こうぜ!」
「一限目だけじゃ無いし、いっつも、ほぼ俺とおんなじの講義組んでるじゃん(笑)」
(志弦)「そうだな!(笑)」
志弦の明るさに引っ張られて、硬くなっていた顔が緩んで、自分迄、明るくなって来ている様な。さっきよりも空気が澄んでいて、心地良い様な。そんな気がする。
(志弦)「優弦ー。一限目!もう行こうぜ!」
「分かった。行こうか。」
廊下は、色々な講義を受けに行く人で溢れていて、簡単には通れなさそうだ。四方八方から、ぎゅぎゅうと押されて、思う様に進めず、おしくらまんじゅう状態だ。人混みに流されない様に、押し分けながら歩く。
(志弦)「優弦。」
「ほら。」
そう言って、志弦は、俺の方に右手の平を出す。
「へ?」
訳が分からず、自分でもよく分からない声が出た。
俺に此の手をどうしろと…?どうすれば良いんだ…?
そう思って、差し出された手を見た儘、俺は固まっていた。
(志弦)「行くぞ。」
志弦は、俺の手をグッと掴んで、人混みの中を、グングンと進んで行く。
「へ…?あ、ありがとう。助かる。」
(志弦)「おう!」
志弦が引っ張って行ってくれた御蔭で、早く人混みから抜けて、講義室に来る事が出来た。
「志弦の御蔭で早く着いたな。」
(志弦)「お!彼処の席にしようぜ!」
志弦は、握った儘の俺の手を、グイグイと引っ張り、丁度空いている席へと、俺を連れて行く。
「分かった分かった(笑)」
講義室は、色々な話し声で溢れていた。講義室に居る全員が、隣の席の人や、偶々おんなじ授業を受ける知り合いと楽しそうに話している。勿論、俺達も例外では無い。
(志弦)「なぁなぁ!」
「ん?」
(志弦)「新しく出た漫画読んだか?!」
「いや。まだだよ。」
「志弦はもう読んだの?」
(志弦)「おう!あったりまえよ!貸してやるから、優弦も読んでみてくれよ!」
「お、貸してくれるの?なら、読んでみよっかな。」
時間に余裕を残して来ていたから、意外と長い時間、志弦と話していた。志弦がめちゃくちゃ楽しそうに話すものだから、読んでもいない漫画の話なのに、少しワクワクした。
空き時間とか関係無しに、授業時間中も、コソコソと、志弦と話をしたりしているけれど…。
(志弦)「なぁ…。消しゴム貸してくんね…?ボロボロに折れちゃった…。」
「どんな使い方したらそんなになるんだよ…?!」
(志弦)「ん〜〜ッ!終わった…。」
「終わったな…。」
「ちょっと難かったかも…。」
(志弦)「確かに…。」
授業が終わると、さっきまでガヤガヤとしていた講義室は、一気に人が減り、静かになり始めた。
「もう人も減って来たし、行くか。」
(志弦)「そうだな!」
人が減って来たタイミングで、俺達も、講義室を後にした。
私は大学生では無いので、大学のスケジュール等がよく分からないんです…。分かる方は、色々指摘してくださると嬉しいです…!小説の書き方についても、指摘して欲しいです!
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