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青春してんなーって思いながらニヤニヤしてました😽🫶🏻( エモい小説なんでそんなに上手く書けるんですか どストライクじゃないですか()
全部読んできたーっっ🙌🏻💕︎ 夏伊くんとか名前から海って感じする(?) 貝殻とかいいなぁ、ピンク色っぽい透明のを思い浮かべてる笑( 甘酸っぱいアオハルだなぁっ、羨ましいい()
うわ待って、霜月くんの下の名前出すの忘れてた( 霜月 夏伊(シモツキ カイ)くんです 全伍章、読んでいただき有難う御座いましたっっ
‐ main character’s name ‐
↻ 榎南 梛彩( エナミ ナギサ
何時かの夢だ。
否、夢よりも鮮明に頭に張り付いている。
現実で起きた昔の私の話なのかもしれない。
「はいっ!このかいがらあげるーっ」
幼い私と同年代の男の子の話で、勿論主人公は私。
死んでも記憶に残るような程、鮮明に記憶している。
「いーのっ?!やったぁ!」
見たことのない綺麗な色を纏った貝殻を其の男の子から貰った。
私の目にはとてつもなく光り輝いていて、美しく魅えた。
「たからものにしてね!」
其の言葉通り、貝殻をずっと握り締めていた。
貝殻が美しいということもあったが、其の男の子から貰えた事が何よりも嬉しかった。
幼い純粋のあのときの私にとって心の底から嬉しかった気がする。
其の夢を過ぎ、今はもう16歳となる。
12年も過ぎて運命的なものが起こらないのは、矢っ張り夢なのかもしれない。
其れ共私に運命運が無いか。
夢だとしても、貝殻をずっと持ち歩いている。
何処かで拾ってきたのかもしれない。
夢の記憶を思い出して。
そんな淡い事をぼんやりと考え、意味もない授業を耳にする。
退屈で変わらない日常。
友人には恋愛とか青春が遭ったとしても私には、飽き飽きするほど何もない。
「なみ、!榎波!」
約2回ほど国語の担当の先生に私の名を呼ばれ、席を立つ。
黒板に記入されている頁数をパラパラと開き、音読を開始する。
そういう、下らなくつまらない日常を終え、家へ向かう。
其の途中に海がある。
海を眺めつつ、信号を待つ。
親友とか恋人とかそんな大切な人と来たら青春なのに、と独り言ちる。
友人には何か壁を感じてしまう。
相手が何も感じなくても、私は思うより気を遣い、嫌われ無い為に行動する。
「きれー」
ぽつりと呟く。
夏には涼し気な南風がふわっと吹く。
髪が靡き、私は吸い込まれるように海へ行く。
ローファーに砂が混じらないよう、気を付けて海へ歩く。
海の波がギリギリ当たらない所で足を止める。
ふと横を見る。
硝子玉のような美しく綺麗な目をした人が私の目に飛び込んでくる。
私は君に惹かれた。
硝子玉の目をしたから惹かれたのかもしれない。
其れ共違う理由で惹かれたのかもしれない。
兎に角君に惹かれた。
「ねえ君綺麗だね」
私は気が付いたら君に声を掛けていた。
そうしたら君は硝子玉を転がすように笑い、私に答えてくれた。
「そうかな?有難う、君の名前は?」
「榎波梛彩!梛彩でいーよ」
ほんの少し君が目を見開いた気がした。
そして表情を直ぐに整え、名を言う。
「梛彩、か、俺は霜月」
「霜月?下の名前は?」
「何時か教えるよ」
「なにそれー、私が損した気分になるー」
「ごめん、笑」
こんなノリで話せるのが楽しくて仕方がない。
友人には絶対出来ないことだから。
「霜月は何処の学校?」
「これから新しく入る予定」
「転校的な?」
そう、と頷き硝子玉の眼を私に向ける。
其の眼に見惚れてしまう。
「?梛彩、どうしたの?」
「ううん、何でも無いよ。私もう帰らなきゃ」
またね、と手を振り合う。
またがある事を願う。
次の日の放課後、またあの海へ向かう。
そうしたらまた君が砂浜で参考書を敷いて座っている。
「いる?ラムネ」
私にラムネ瓶を突き出しラムネ瓶のビードロ玉をカラカラと鳴らす。
「ありがと、霜月」
礼を言い、ラムネ瓶を受け取る。
一口、ラムネを口に含む。
そして霜月が口を開く。
「俺さ、梛彩に逢ったことあるんだよね。12年前くらいに」
え、と声に成らないような声が洩れる。
「じゃ、じゃああの貝殻、っ」
「うん、俺があげた。あの貝殻凄く綺麗でしょ?笑」
「うん!今も持ってるよ」
霜月に美しい貝殻を貰えた事が凄く凄く嬉しかったから。
「これ、あげるよ。次は霜月が持ってる番!」
「っ、ありがと」
ラムネ瓶に入ったビードロ玉がカランと音を立てて揺れる。
君がふわっと笑顔を創る。
何時か、昔か視た幼い頃の現実のように。
其時、否もうずっと前から恋に堕ちていた。
そして今日もまたより一層恋に堕ちた。