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ある日、見てしまった。
一方的に想いを寄せていた人が、告白する姿を。
「僕、ロウきゅんのことが好きだよ。」
赤とは言えない、でもピンクとも違う髪。所々に入った黒のメッシュが、春の生暖かい風に揺れる。いつものようなボケの雰囲気は一切感じられず、真剣な表情で彼を見ていた。じわじわと染まる頬に、俺は少し息をのむ。どちらに転んでも俺は心が痛い。いっそこのまま俺も好きだと言いたい。だがそんな勇気は無い。ただ、ひたすらに、彼を見るだけ。
「……ありがとう、うぇん。」
小柳が口を開く。……恋愛音痴な俺でもわかった。ありがとう、から始まる返事は、恐らくフラれる…、ということを。まぁ実際、小柳は星導と付き合ってるなんて噂流れてたからな…。その後は俺の心音でよく聞き取れなかったけど、ウェンの赤くなった鼻を見れば、…叶わなかったのだと、分かる。
2人が解散してから、いてもたってもいいられなくなった。なんでもいいからウェンに声をかけたかったから。勿論、偶然を装ってだけど。
「あれ、ウェン?」
立ちすくむウェンに、なんでここに?と言いたげな声をかけた。だいぶ普通に話せてると思う。俺演技力高いかもな…。ウェンは口をパクパクさせながら、
「、フラれちゃった」
なんて笑いながら言った。その顔が、繊細で、寂しげで、儚くて。俺ならそんな顔させないのに、とかモヤモヤした気持ちを抑える。そっか、と素っ気ない返事をして、しばらく沈黙が続く。ばか、ばかばかばかばか俺のばか!!!そっかとか今1番しんどい!!!なんて声をかけよう、ほんとなら抱き締めてしまいたい、とか、ぐるぐる思考が回って、どうにもできなかった。
「…んっふふ、なにをそんな気にしてんの?」
すっと俺の顔を見ながら彼はにへ、と笑ってくれた。ぱっと花が咲いたような、ぱっと周りを明るく照らすような、なんというか、もう太陽だった。そんな彼を見て、俺はおかしくなっていたのだろうか。
「ウェン、付き合って!!!」
なんて馬鹿な事を叫んだ。ハッと我に返る俺と、ポカンとするウェン。必死に「あっ、勉強!!勉強な!!!?」と弁明しても、ウェンはニヤニヤと笑みを浮かべるだけ。多分俺は今、顔が真っ赤なのだろう。何をしても墓穴を掘る気がする。俺がワタワタしていると
「勉強会ね、楽しみに待ってる」
と、目を細め言ってくれた。
嗚呼、なんて綺麗な瞳なのだろう。ほんとに、俺は、彼のことが好きなんだな。
とか考えた、ある日であった。
⚠︎︎期間限定投稿です
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