みんなは陰キャってどういう人の事か知ってる?まぁ、もちろん知ってるよね。喋る時にモゴモゴしたり、テンションが低い人とか、あとはまぁ、コミュニケーションが苦手な人の事を言うね。実は私も陰キャなんだ…ハハ()
クラスの一軍の人を見るたびに、ああいうタイプの人間に生まれてみたかった、という憧れが生まれてしまう。どうしてあんなに話題が尽かないで会話を出来るのだろう。きっと、私なんかじゃ思考の差があり過ぎて、会話が成り立たないだろうな、私はそんなことを考えながら、もうすぐ見られなくなるクラスの人々の会話を聞き耳を立てて聞く。全く頭に入ってはこないけれど、今はこのBGMをゆっくりと聴きたかった。
「はい、皆さん席に着いてください。」
柔らかな女性の声が教室内に響くとクラスメイトは不満を顔に出しながら席につく。つまるところ、まだ授業始まってないじゃん、みたいな。
ごめんね、私のせいで休み時間削っちゃって。女性担任は校長先生みたいに長い世間話を始める。クラスメイトの一人が耐えかねたのか、不満をこぼすと女性担任はいよいよ本題を切り出す。
「あ、そうだったわ。今日○○さんが転校する事が決まりました。」
別にざわざわするわけでもなく、ふーんそっかくらいの反応だった。(先生は嬉しいことに泣いてくれたけど。)まぁ当たり前だよね、陰キャが居なくなったって、誰にも支障は出やしないし。ついさっき出ちゃったけど。別に前に立たされてる訳でも無かったので、遠慮なく欠伸をしてから机に突っ伏した。
「お前が今日から入る○○か。」
ふわふわとした…?いや、何て言えばいいんだろう、とにかくイケボではない声の先生で時間がゆっくりと動き出す。いきなり呼び捨てかよ。顔変えたらどうだ?と、一瞬のうちに愚痴が頭を駆け巡る。深い青で濁っている外国人のような色をしている瞳。頭にはまだ9月だっていうのに青いニット帽を被っていて、間違いなく”イケてるメンズ”に分類される教師である。職員室のドアからは、ファンかなんだか知らない女子が顔を除かせている。
「はい」
考え事をしていたので数秒間を開けてからの返事だったが、不満などは顔に出ていなかった。
「まー変なやつらばっかだけど宜しくな~。てことで担任のらっだぁです」
「はい、宜しくお願いします…」
どういうことかはわからないが、名前くらいは一応覚えておこう。変なやつら…どうせ、前と同じで一軍の陽キャのバカがいるって事だろ、と、勝手に解釈させてもらった。
「俺が呼んだら教室に入ってきてね~」
お決まりの呼び出し方式で紹介されるようだ。漫画とかでよく見る、あれ。大体主人公明るくて美人で陽キャな恋愛漫画物の。
ふと、窓の外を見る。雲ひとつない快晴の9月の空。まだ夏の暑さを残した、太陽が色づいた秋の木々を照らしていた。
「おーい、入ってこーい」
雑音と共に先程の声が私に入ってくるように促す。私はその指示に従い前のドアから教室内に足を踏み入れる。踏み入れて、言葉を失った。
その教室には男子しかいなかった。女子なんて一人も居ない。職員室で見たファンらしき女子は、私が見た幻だったのか?
「まーこの通りまだこのクラスに女子居ないんだよね~」
だよね~じゃない。先に説明…そういえば、されてたな。一時間くらい前の真新しいしわがれた音声が再生される。
『ここ、元々男子校でまだ女子が少ないんだよ。女の子だし苦手意識もってるとは思うけど、いい子達ばかりだから安心してね』
私が沈黙したために、焦ったような顔をしているらっだぁ先生。
「えっと、○○ちゃんであってる?」
独特なイントネーションの声が脳に反響する。
「あ、はい…すみません…」
「同級生なんだから敬語じゃなくてもええんやで。」
「え、あ、うん」
らっだぁ先生は満足げな顔をしてにやついている。正直ちょっと変態みたいだ。失礼だけどね。
「じゃー仲良さげなトントンの隣ね!」
らっだぁ先生がトントンと呼んだ赤いメガネをかけた男子生徒が、手を上げて、ここやで~、と場所を教えてくれた。意外に親切だなぁ~とか、真面目そうだから私なんかにも優しいのかな、とか思いながら通路を歩いて南側の空いている席に座った。
「まー今日のホームルームはこんくらいかなぁ?みんな仲良くしとけよ~」
と言い残してらっだぁ先生は教室から出ていった。とたんに、ガタガタ雑音を出して、男子たちが立ち上がり私の席を囲んだ。囲む意味なんて無いのに。
「○○ちゃんやな!よろしゅうな~!」
「う、うん、よろしく…」
「今度一緒にゲームしようぜ!」
「あ、そういや俺新しいゲーム買ったから持ってくな!」
「おー!ええやん!俺も俺も~!(^○^)」
「なぁ、○○ちゃんは筋肉好きか⁉」
「え…?」
「今後歓迎会がわりにみんなでご飯行きましょうよ!」
「僕ラーメン屋がええなぁ!あ、○○ちゃん今度二人っきりでお茶でm(((」
「ちょ、お前らぁ!○○ちゃん困ってるやろ!やめたれぇ!」
質問攻めに困惑していると、やはり優しいトントン君が皆を静めてくれた。
「すまん!○○!ちょっと質問しすぎたわ!俺はシャオロンっちゅーねん!よろしゅうな!」
「鬱です~大先生って呼んでな!」
「さっきらだお先生が紹介してくれたけど、トントンやで。」
「ゾムやで~!今度一緒にゲームしような!」
「う、うん」
「チーノです!歓迎会どうしますか~?」
「え、あ、?」
「やるかやらないかってこと…?」
「いや、やることは決定してるので!」
「え、あ、おおう(?)」
「なにか食べたいものでもありますか?」
「うぇ?んーと、(安いやつ安いやつ…)」
「お、お弁当…?」
外からいやらしく風の音が響く。別にネタで言ったわけではなくその…
「…ぷっw」
「あっはははは!そうやないて~w」
「はえ…」
「おもろいなお前!これからよろしゅうな~!」
助けを求めるように横の席を見ると、トントン君も微笑んでいた。
ーーーーーーーーーーーーーー
こんにちは!主です!
一話いかがだったでしょうか!
初投稿なので誤字脱字などは許してください…💦
では、また2話で!
コメント
27件
フォロー失礼しますね。