「あ…またきちゃった…」
静かな夜は寂しくて、時折何処かへ消えてしまいたくなる。
かと言って毎度メンバーやマネージャーを呼ぶのは違う。そんな風にするのは失礼だから。
どうしてもダメな時はまぁ呼んじゃうけどさ…
今日は仕事の関係でホテルに泊まっていて、もふもふ甘えられるワンコもいない。
なんか気を紛らわせる事ないかなぁ…
さっきネットで目にした、自分達に関わる内容がぼんやり浮かんだ。
賞賛、嫌悪、好意、悪意…
子供の頃から可愛げない性格なもので、良いことだけ受け入れる強さはある。
フロントマンとしての覚悟や責任感から、皆を守る為なら盾になることすら苦にならない。
弱ってる時は少々痛いけれど、その痛みすら慣れたものだ。
厄介なのは、 好意ですら僕の中へ浸透する前にもう1人の僕に邪魔をされる。
皆が見てるのは偶像でしょ?って。
本当の僕は…
「ああも~。やめた」
スマホ片手にベッドへ潜り込んだ。
個人のSNSを開いて数秒考えた後、短い一言だけ打ち込む。
瞬時に反応があり、あっという間にとんでもない数の返信で埋め尽くされていく。
凄いよね。まだ数秒だというのに。
他人事のように、どこかまだ信じられないように、その様を見つめる。
年を経て味方に頼るのは少し出来るようになってきた気がする。
優しい言葉に今は甘えよう。
暫く画面を見てから枕元へ戻し、眠くは無いけれど目を閉じて毛布に包まる。
~♪
ふいにスマホの着信音が鳴り、油断していた僕はビクッと目を開けた。
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