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驚きでドキドキしながらスマホを確認すると、相手は若井だった。
今日はメンバー全員で来てるため同じホテルの別室に居るのだけど、すでに寝てると思っていた。
「なに?どした?」
“おー、何もないけど暇だからそっち行っていい?”
「何もないのかよ。いいけど」
そう話してる間にも扉をノックされる。
どうりで電話口から建物内の少しざわついた音が聞こえると思った。
「確認電話の意味なくない?」
思わず笑いながら扉を開け、入ればと手招きしてから部屋の奥へ戻る。
「まぁまぁ、お邪魔しまーす。適当に飲み物とかつまめるの買ってきた」
ガサガサと手に持ったビニール袋を見せる相手へ、やったー!と明るく返す。
まだ暗闇の消えてない自分を隠すように、ボスンとベッドへうつ伏せに倒れ込めば何故かその横に座ってビニールから次々と取り出し始める。
「…ちょっと、ベッドに零すなよ。そっち机あるし」
本当は気の許す誰かが、近くに居てくれたらホッとする。
とはいえ中学からの幼なじみだと素直に甘えるのは照れくさい。こいつだからこそ、ぶっきらぼうに言ってしまうことがある。
「零さないですよ?大人ですから」
ドヤ顔で意味不明にイケボで言うから吹き出した。
耐えきれずいつもの高笑いが出てしまい、慌てた若井にやばいやばい隣に近所迷惑と手で口を抑えられる。
いやお前のせいだからな!と笑いをかみ殺しながら睨むも、そこでふと気づく。
話があるわけでもなく、ゲームしようでもなく。
自然なようで不自然。
俺らにしか解らないような、ほんの少しの違和感に気づいてしまった。