ーきっと後悔することになる?
『判ってる………….。』
ガラガラ
「し、失礼しま..す。」
「院長さん、お話って?」
「憂京くん? 次の家族が決まったの!」
パァ
ー僕達は5回も失敗しているんだ。
理解ってる。
でも、嬉しいものだ。
誰かが僕を必要としているのかも知れないだろう?
だから、過ごしてみるまで分からない。
僕はそんな幼い子供なんだ。
「今回は、どんな家族?」
「憂京くんは、Orange chocolateって知ってる?」
「知ってる! 僕も好きだよ?」
「そのメンバーの、家族だよ。」
「え、ホントホント!?」
「でもね、右京くん、、。」
院長の顔つきが変わった。…….気が、した。
?
よくわからないがまた………。
『嫌な予感がする…。』
「今回の家族は」
ハッ
院長の声が頭に響き渡る。
きっとマイナスのことを考えていたからだろう。
「な、なんですか?」
おもわず敬語になった。
「お、お兄ちゃんとは家族が違うの……..。」
え?
なんでだろう。
体が震える……。
理解っていた。 兄さんはちゃんとした人間で、一人として生きていける。
理解っていた。から、震えないつもりだった。だが、実際になると想像以上に体が震える。
足先まで震えているせいで体がちゃんと支えられていない。
崩れそうになったんだ。
ダダッ
「..! 憂京くん!?」
怖い、怖い。
聞かなきゃよかった。
自分に反抗しなけりゃよかった。
逃げればよかった。
解かっていた。
兄の眼つき。表情。
院長の雰囲気。話すときの姿勢。
院長が下を向き、右腕を左腕で掴んでいるときはいつも、大体いいことなんて無かった。
パンを焦がしたとき。
僕の分を買い忘れていたとき。
“僕らの引取先が”“見つからなかったとき”。
そうだ。
この際、見つからなければよかった。
見つからなければ、きっとここには何気ない毎日と、色んな人の笑顔がまだあったかもしれない。
泣きながら走って、視界がぼやける。
そもそも僕の家族が壊れなければ、ここにも来なくてよかったのに………..!
院長に失礼なのは分かってる。
僕ら双子のために走り回ってくれている。
でも、今ではその努力も僕には痛いぐらいだ。
今どこを走っているのかもわからない。
でも、確かなのは、どれだけ逃げても今までの引き取られた回数、そしてそれと比例する戻された回数、次の家族で兄と離れるという事実。
変えられない。
変わらない。
コメント
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おぉおおおおおお(?)